「約束の地」と「神の山」
創世記15:18
その日、主はアブラムと契約を結んで仰せられた。「わたしはあなたの子孫に、この地を与える。エジプトの川から、あの大川、ユーフラテス川まで。
民数記34:1-5
1 主はモーセに言われた、
2 「イスラエルの人々に命じて言いなさい。あなたがたがカナンの地にはいるとき、あなたがたの嗣業となるべき地はカナンの地で、その全域は次のとおりである。
3 南の方はエドムに接するチンの荒野に始まり、南の境は、東は塩の海の端に始まる。
4 その境はアクラビムの坂の南を巡ってチンに向かい、カデシ・バルネアの南に至り、ハザル・アダルに進み、アズモンに及ぶ。
5 その境はまたアズモンから転じてエジプトの川に至り、海に及んで尽きる。
ヨシュア15:1-4
1 ユダ族の諸氏族が、くじで割り当てられた地は、エドムの国境に至り、その南端は、南のほうのツィンの荒野であった。
2 その南の境界線は、塩の海の端、南に面する入江から、
3 アクラビムの坂の南に出て、ツィンに進み、カデシュ・バルネアの南から上って、ヘツロンに進み、さらにアダルに上って、カルカに回り、
4 アツモンに進んで、エジプト川に出て、その境界線の終わりは海である。これが、あなたがたの南の境界線である。
列王上8:65
ソロモンは、このとき、彼とともにいた全イスラエル、すなわち、レボ・ハマテからエジプト川に至るまでの大集団といっしょに、七日と七日、すなわち十四日間、私たちの神、主の前で祭りを行なった。
イザヤ27:12
その日、主はユーフラテス川からエジプト川までの穀物の穂を打ち落とされる。イスラエルの子らよ。あなたがたは、ひとりひとり拾い上げられる。
主なる神がアブラハムと結んだ契約においても、またモーセやヨシュア、ソロモン、イザヤなどに語った時にも、「約束の地」の南端の境界線は、常に「エジプト川」であった。勿論、これはエジプトのナイル川ではなく、添付した図の中の赤い矢印で示している「ワディ・エル・アリシュ」のことである。
ナイル川のように豊かな水が滔々と流れている川ではなく、おそらく雨期でなければ乾いた河川床でしかないような場所である。アブラハムの時代には十分な水量があったのかもしれないが、「約束の地」と「異邦人の地」を区切る境界線としては、どうも頼りないイメージではないだろうか。
天地創造の神は全地の主として、イスラエルの民にせめて「ナイル川からユーフラテス川まで」の土地を約束することはできなかったのだろうか。そしてその広大な領地の内側に、「神の山」と「神の都」の「二つの聖なる場所」を設定することもできたはずである。否、むしろ「神の山」に「神の都」を造らせ、「地上で最も霊的で聖なる場所」とすることもできたはずである。
しかし実際は、「神の山」を「約束の地」から三百キロ近く離れた荒野の、しかもエジプトで奴隷であったイスラエルの民がその「約束の地」に入る道程の「一つの通過点」として選ばれたのである。さらに驚くべきは、後世の人々が確信をもって場所を指定できないように定められた。
そして「約束の地」の中の「神の都エルサレム」についてさえ、次のように語られた。
ヨハネ4:21-24
21 イエスは彼女に言われた。「わたしの言うことを信じなさい。あなたがたが父を礼拝するのは、この山でもなく、エルサレムでもない、そういう時が来ます。
22 救いはユダヤ人から出るのですから、わたしたちは知って礼拝していますが、あなたがたは知らないで礼拝しています。
23 しかし、真の礼拝者たちが霊とまことによって父を礼拝する時が来ます。今がその時です。父はこのような人々を礼拝者として求めておられるからです。
24 神は霊ですから、神を礼拝する者は、霊とまことによって礼拝しなければなりません。」
それは信仰者の目がこの地上において何を慕い求め、またどう求めるべきかを明確に示していると言えないだろうか。
Ⅱコリント5:1
私たちの住まいである地上の幕屋がこわれても、神の下さる建物があることを、私たちは知っています。それは、人の手によらない、天にある永遠の家です。
コロサイ3:1-4
1 こういうわけで、もしあなたがたが、キリストとともによみがえらされたのなら、上にあるものを求めなさい。そこにはキリストが、神の右に座を占めておられます。
2 あなたがたは、地上のものを思わず、天にあるものを思いなさい。
3 あなたがたはすでに死んでおり、あなたがたのいのちは、キリストとともに、神のうちに隠されてあるからです。
4 私たちのいのちであるキリストが現われると、そのときあなたがたも、キリストとともに、栄光のうちに現われます。
ピリピ3:20
けれども、私たちの国籍は天にあります。そこから主イエス・キリストが救い主としておいでになるのを、私たちは待ち望んでいます。
へブル12:18-24
18 あなたがたは、手でさわれる山、燃える火、黒雲、暗やみ、あらし、
19 ラッパの響き、ことばのとどろきに近づいているのではありません。このとどろきは、これを聞いた者たちが、それ以上一言も加えてもらいたくないと願ったものです。
20 彼らは、「たとい、獣でも、山に触れるものは石で打ち殺されなければならない。」というその命令に耐えることができなかったのです。
21 また、その光景があまり恐ろしかったので、モーセは、「私は恐れて、震える。」と言いました。
22 しかし、あなたがたは、シオンの山、生ける神の都、天にあるエルサレム、無数の御使いたちの大祝会に近づいているのです。
23 また、天に登録されている長子たちの教会、万民の審判者である神、全うされた義人たちの霊、
24 さらに、新しい契約の仲介者イエス、それに、アベルの血よりもすぐれたことを語る注ぎかけの血に近づいています。
へブル13:14
私たちは、この地上に永遠の都を持っているのではなく、むしろ後に来ようとしている都を求めているのです。
Ⅱペテロ3:13
しかし、私たちは、神の約束に従って、正義の住む新しい天と新しい地を待ち望んでいます。