おそらくそれほど遠くない未来に関する一つの想定をしてみよう。一人の強烈なカリスマをもった政治家の超自然的な手腕によって、現在では不可能だとしか思えないエルサレムの第三神殿建造が実現する時期に、あなたと私が御子イエスの十字架の贖いを信じ、救いを受けたとしよう。
私たちは14万4千人のイスラエル人宣教者たちや、エルサレムの二人の証人たちの証しを聞いて、奮い立ち、彼らと同じように罪の赦しと魂の救いは御子の尊き犠牲の死と復活によってのみ与えられ、再建された神殿におけるレビ族祭司たちによる動物のいけにえは、何の役にも立たないものだ、と証しするだろう。
しかしその私たちの証しは、ステパノの証しに対してそうであったように、神殿祭儀の復活がモーセの律法に守ることであると信じているイスラエル人たちの激しい怒りを買い、またいずれその神殿において自分が神であると宣言することを計画している反キリストの憎悪と殺意の対象となるだろう。
そして反キリストはその独裁者としての権力を用い、全世界に対してこう宣言するだろう。「このキリスト者たちは、神がモーセを通して与えてくださった神聖なる律法に背き、世界平和の実現に反対し、兄弟愛を憎む反逆者である」と。
御子イエスが終わりの時に関して預言していたことが、その時、完全に成就するである。
マタイ24:9
そのとき人々は、あなたがたを苦しみにあわせ、また殺すであろう。またあなたがたは、わたしの名のゆえにすべての民に憎まれるであろう。
そして反キリストはあなたと私を、その他のキリストの証人と同様、逮捕し、おそらく拷問によって棄教を迫り、それでも御子とその十字架にのみ栄光を帰そうとする信仰者たちを殉教に追い込むだろう。
使徒6:11-14
11 そこで、彼らは人々をそそのかして、「わたしたちは、彼がモーセと神とを汚す言葉を吐くのを聞いた」と言わせた。
12 その上、民衆や長老たちや律法学者たちを煽動し、彼を襲って捕えさせ、議会にひっぱってこさせた。
13 それから、偽りの証人たちを立てて言わせた、「この人は、この聖所と律法とに逆らう言葉を吐いて、どうしても、やめようとはしません。
14 『あのナザレ人イエスは、この聖所を打ちこわし、モーセがわたしたちに伝えた慣例を変えてしまうだろう』などと、彼が言うのを、わたしたちは聞きました」。
使徒7:48-58a
48 しかし、いと高き者は、手で造った家の内にはお住みにならない。預言者が言っているとおりである、
49 『主が仰せられる、どんな家をわたしのために建てるのか。わたしのいこいの場所は、どれか。天はわたしの王座、地はわたしの足台である。
50 これは皆わたしの手が造ったものではないか』。
51 ああ、強情で、心にも耳にも割礼のない人たちよ。あなたがたは、いつも聖霊に逆らっている。それは、あなたがたの先祖たちと同じである。
52 いったい、あなたがたの先祖が迫害しなかった預言者が、ひとりでもいたか。彼らは正しいかたの来ることを予告した人たちを殺し、今やあなたがたは、その正しいかたを裏切る者、また殺す者となった。
53 あなたがたは、御使たちによって伝えられた律法を受けたのに、それを守ることをしなかった」。
54 人々はこれを聞いて、心の底から激しく怒り、ステパノにむかって、歯ぎしりをした。
55 しかし、彼は聖霊に満たされて、天を見つめていると、神の栄光が現れ、イエスが神の右に立っておられるのが見えた。
56 そこで、彼は「ああ、天が開けて、人の子が神の右に立っておいでになるのが見える」と言った。
57 人々は大声で叫びながら、耳をおおい、ステパノを目がけて、いっせいに殺到し、
58a 彼を市外に引き出して、石で打った。
私たちに対して激しく怒る人々の顔をみながら、私たちは考えるだろう。「イスラエル旅行に参加し、第三神殿建設のために熱心に執り成しの祈りをし、献金まで捧げていたあの福音派クリスチャンたちは、一体何を期待していたのだろうか」と。
たとえディスぺンセ―ション主義的立場にいたとしても、一人の信仰者であるならば、「教会は大患難期前に携挙されるのだから、大患難期に信仰をもつことになる人々がどのような苦難に遭遇しようともあまり興味がない」と考えることはできないはずである。なぜなら終末論的見解の違いを超えて、現在恵みの下に生きている信仰者も、大患難期に御子イエスを信じて、絶対に避けては通れない迫害と殉教によって信仰を全うする人々も、共に主の御前に立つことになるからである。
その時の贖われた人々の口からでる賛美は、神の子羊としてその尊き命を捧げてくださった唯一の救い主、御子イエスを褒め称えるだけだろう。
黙示録5:7-10
7 小羊は進み出て、御座にいますかたの右の手から、巻物を受けとった。
8 巻物を受けとった時、四つの生き物と二十四人の長老とは、おのおの、立琴と、香の満ちている金の鉢とを手に持って、小羊の前にひれ伏した。この香は聖徒の祈である。
9 彼らは新しい歌を歌って言った、「あなたこそは、その巻物を受けとり、封印を解くにふさわしいかたであります。あなたはほふられ、その血によって、神のために、あらゆる部族、国語、民族、国民の中から人々をあがない、
10 わたしたちの神のために、彼らを御国の民とし、祭司となさいました。彼らは地上を支配するに至るでしょう」。