シリア: もう一つのパイプライン戦争: マスコミに載らない海外記事
パイプライン戦争
彼らの見方では、バッシャール・アサドに対する我々の戦争は、2011年、アラブの春の穏やかな市民的抗議行動で始まったわけではない。そうではなく、カタールが、サウジアラビア、ヨルダン、シリアとトルコを経由する100億ドル、1,500kmのパイプライン建設を提案した2000年に始まったのだ。
提案されたカタール-トルコ天然ガス・パイプラインの路線を辿る紫色の線と、赤で強調されている国々全てが、トルコが最終的に(エルドアンの政治的な動機によるPKKとの戦争のNATOによる黙認と引き換えに)アメリカがインジルリクからISIS標的に対する戦闘任務を発進させることに同意した後、慌ただしくまとめられた新たな連合のメンバーであることにご注意願いたい。紫の線沿いのどの国が、赤く強調されていないかにご注意願いたい。これはバッシャール・アル・アサドが、パイプラインを支持していないためで、今我々は、中東国家の独裁者でいて、アメリカとサウジアラビアが実現したい何かを支持しないことに決めると、一体何が起きるのかを目にしているのだ。(地図: ZeroHedge.com via MintPress News)
カタールは、世界で最も豊かな天然ガス埋蔵地の南パース/ノース・ドームガス田をイランと共有している。最近までの国際貿易禁輸で、イランがガスを海外に販売することを禁じたが、カタールのガスは、液化し、海上輸送しない限り、ヨーロッパ市場には送れず、量が制限され、劇的に高い経費がとなっている。
提案されているパイプラインは、カタールを、トルコ内の配給ターミナル経由で直接ヨーロッパ・エネルギー市場と直接結びつけるはずで、トルコも莫大な通過料を稼げるはずなのだ。カタール/トルコ パイプラインによって、ペルシャ湾岸スンナ派諸王国が、世界天然ガス市場において、決定的に優位となり、アラブ世界におけるアメリカの緊密な同盟国カタールを強化するはずなのだ。カタールは二つの巨大なアメリカ軍事基地と、アメリカ中央軍の中東司令部を受け入れている。
ガスの30パーセントをロシアから得ているEUは、同様に、加盟諸国に安いエネルギーが得られ、ウラジーミル・プーチンの息苦しい経済的・政治的影響力から解放されるはずのパイプラインが欲しくてたまらないのだ。二番目に大きなロシア・ガス購入国トルコは、特に古来のライバルへの依存を終わらせ、自らアジアの燃料をEU市場に送るうま味ある横断ハブになりたくてしかたがないのだ。カタール・パイプラインは、シーア派が多数派のシリア国内に足場を得られるサウジアラビアの保守的スンナ派王政にとっても恩恵があるはずだ。
サウジアラビアの地政学的目標は、王国の主要ライバル、シーア派国家で、バッシャール・アサドの緊密な同盟国であるイランの経済的、政治的権力を封じ込めることだ。サウジアラビア君主体制は、アメリカが支援するシーア派によるイラク占拠を、この地域大国にとって、降格と見なしており、イランが支援するフーシ派部族を、サウジアラビアが虐殺していることで浮き彫りにされたように、イエメンで、既にテヘランに対する代理戦争を行っている。
もちろん、70パーセントのガス輸出をヨーロッパに販売しているロシアは、カタール/トルコ・パイプラインを、存続を脅かす脅威と見なしている。プーチンの考えでは、カタール・パイプラインは、NATOの策謀 現状を変えて、ロシアから中東唯一の足場を奪い、ロシア経済を締めつけ、ヨーロッパ・エネルギー市場におけるロシアの影響力を終わらせる。2009年、アサドは“わが同盟国ロシアの権益を守るため”シリア国内を通過するパイプラインを認める協定への署名を拒否すると発表した
アサドは更にイランのガス田から、シリアを経由し、レバノンの港に至る、ロシアが承認した“イスラム・パイプライン”を支持して、湾岸のスンナ派王政国家を怒らせた。イスラム・パイプラインは、スンナ派のカタールではなく、シーア派のイランをヨーロッパ・エネルギー市場における主要供給者にして、中東と世界におけるテヘランの影響力を劇的に強化する。イスラエルも、イランとシリアを豊かにし、恐らくは彼らの手先のヒズボラとハマースを強化するイスラム・パイプラインを駄目にすると当然ながら固く決意している。
アメリカ、サウジアラビアとイスラエル諜報機関による秘密電報と報告書は、アサドが、カタール・パイプラインを拒否した瞬間、軍と諜報機関の立案者は、カタール/トルコ・ガス・リンクを完成するという共通の目的を実現するためには、シリアでのスンナ派反乱醸成が、非協力的なバッシャール・アサドを打倒するための実行可能な手段であることですぐさま合意に至ったことを示している。2009年、ウィキリークスによれば、バッシャール・アサドがカタール・パイプラインを拒否して間もなく、CIAはシリア国内の反政府集団に資金提供を開始した。
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サダム・フセインに対する、わが国の2003年の戦争を支持したのと同じ画像や言葉を用いて、わが国の政治指導者連中は、アメリカ国民に、我々のシリア介入は、独裁、テロ、宗教的狂信に対する理想主義的戦争だと信じ込ませようとした。現在の危機を、パイプラインと地政学を巡るいつもの策謀の回帰と見なすこれらアラブ人の見解を、単なる不信感として我々は見落としがちだ。しかし、もし効果的な外交政策を持ちたいのであれば、我々は、シリア紛争が、中東で、アメリカが65年間戦ってきている、秘密で布告のない無数の石油戦争と見分けがつかない資源支配を巡る戦争であることを認めねばならない。我々がこの紛争を、パイプラインを巡る代理戦争と見なして初めて、事態が理解可能になる。
これこそが、一体なぜ連邦議会の共和党とオバマ政権が、地域の安定ではなく、政権転覆に依然固執しているのか、一体なぜオバマ政権が、戦争で戦うシリア穏健派を見つけ出すことが出来ないのか、一体なぜISISがロシア旅客機を爆破し、一体なぜサウジアラビアが有力なシーア派指導者を処刑し、在テヘランの大使館が炎上される羽目になったのか、一体なぜロシアがISIS戦士でない人々を爆撃し、一体なぜトルコがロシア戦闘機を撃墜するに至ったかを説明できる唯一の枠組みだ。今ヨーロッパに殺到している何百万人もの難民は、パイプライン戦争や、CIAのしくじりからの難民だ。
クレメンテは、ISISを、歩兵を動機づける革命イデオロギーを持ったコロンビアのFARC-麻薬カルテルになぞらえている。“ISISを、石油カルテルとして考える必要があります”とクレメンテは言った。“結局、金こそが支配原理です。宗教イデオロギーは、兵士たちに、石油カルテルのために命を捧げるよう動機付けするための手段です。”
この紛争から人道的な上面をはぎ取って、シリア紛争は石油戦争なのだとさえ認識すれば、アメリカの外交政策戦略は明らかになる。逆に、我々の最優先事項は、これまで誰もあげていないものにするべきなのだ-アメリカが、エネルギーの点で、より自立するにつれ、益実現性のある目標となりつつあるのだが、我々は中東石油中毒を絶つ必要がある。次に、中東における軍事的存在感を劇的に弱め、アラブ人にアラビアを運用させることが必要だ。人道的支援や、イスラエル国境の安全保障以外に、この紛争におけるアメリカの正当な役割はあり得ない。事実が、危機を生み出す上で、アメリカが役割を演じたことを証明しており、我々にはそれを解決する力がほとんどないことは歴史が示している。
(記事から抜粋引用)
記事の最後の部分に「麻薬中毒」ならぬ「石油中毒」という表現が使われているが、言い得て妙である。主イエス・キリストの信仰を持つ前に麻薬中毒者だった何人かの信仰者の証しを直接聞いたことあるが、彼らの救われる前の生活において共通していることは、その生活が「どうやってクスリを手に入れるか」という一点だけのために動いていた、ということである。その目的のためには、あらゆる手段を使い、ウソや盗み、恐喝、暴力、売春、そして自分を最後まで見捨てず助けようとしていた人々を裏切り、彼らの良心を利用さえしていた、と語っていた。そのすべてが、ただひたすら「クスリを手に入れる」というためだけに行っていたのである。
麻薬中毒者が麻薬を手に入れるためにはあらゆる手段を使うように、「石油中毒者」も自分たちの強欲を満たすために、「宗教イデオロギー」さえもひとつの手段として利用すると記事は告発している。
しかし「石油中毒」のような悪の根は、教会の中にも蔓延ることを言及しなかったら、私たちは偽善者にしか過ぎないであろう。「ビジョン」「召し」などの「聖なる言葉」で飾られた人間の野心や欲望の実現のために、聖書倫理的には不当な手段でさえも正当化し、他人の信仰や良心を踏み台として利用するケースは、例外とも言えないほど増えてしまった。
聖書的な意味での「貪欲」とは、神の戒めよりも自分の欲望に重きを置くことであり、だからこそ「貪欲は偶像崇拝に他ならない」と警告しているのである。
コロサイ3:5-10
5 だから、地上の肢体、すなわち、不品行、汚れ、情欲、悪欲、また貪欲を殺してしまいなさい。貪欲は偶像礼拝にほかならない。
6 これらのことのために、神の怒りが下るのである。
7 あなたがたも、以前これらのうちに日を過ごしていた時には、これらのことをして歩いていた。
8 しかし今は、これらいっさいのことを捨て、怒り、憤り、悪意、そしり、口から出る恥ずべき言葉を、捨ててしまいなさい。
9 互にうそを言ってはならない。あなたがたは、古き人をその行いと一緒に脱ぎ捨て、
10 造り主のかたちに従って新しくされ、真の知識に至る新しき人を着たのである。