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an east window

夜明けとなって、明けの明星が心の中に上るまで

空のような先生

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 スマートフォンのニューススタンドで見つけたいい話。

小学生のとき、少し知恵遅れのA君がいた。

 

足し算、引き算の計算や、会話のテンポが少し遅い。

でも、絵が上手な子だった。

彼は、よく空の絵を描いた。

抜けるような色遣いには、子供心に驚嘆した。

 

担任のN先生は算数の時間、解けないと分かっているのに答えをその子に聞く。

冷や汗をかきながら、指を使って、ええと・ええと・と答えを出そうとする姿を 周りの子供は笑う。

N先生は答えが出るまで、しつこく何度も言わせた。

 

私はN先生が大嫌いだった。

 

クラスもいつしか代わり、私たちが小学6年生になる前、N先生は違う学校へ転任することになったので、全校集会で先生のお別れ会をやることになった。

生徒代表でお別れの言葉を言う人が必要になった。

先生に一番世話をやかせたのだから、 A君が言え、と言い出したお馬鹿さんがいた。

お別れ会で一人立たされて、どもる姿を期待したのだ。

 

 

私は、A君の言葉を忘れない。

 

「ぼくを、普通の子と一緒に勉強させてくれて、ありがとうございました」 A君の感謝の言葉は10分以上にも及ぶ。

水彩絵の具の色の使い方を教えてくれたこと。

放課後つきっきりでそろばんを勉強させてくれたこと。

 

その間、おしゃべりをする子供はいませんでした。

 

N先生がぶるぶる震えながら、嗚咽をくいしばる声が、体育館に響いただけでした。

 

昨日、デパートのポストカードなどに美しい水彩画と、A君のサインを発見いたしました。

 

N先生は今、僻地で小学校で校長先生をしております。

 

どこまでも高く、

広く、

時に厳しく、

今は

手が届かないけれど、

いつでも

包み込んでくれている。

空のような私の先生。