「信仰による祝福」と「律法の行いによる呪い」(3)
ガラテヤ3:10-13
10 いったい、律法の行いによる者は、皆のろいの下にある。「律法の書に書いてあるいっさいのことを守らず、これを行わない者は、皆のろわれる」と書いてあるからである。
11 そこで、律法によっては、神のみまえに義とされる者はひとりもないことが、明らかである。なぜなら、「信仰による義人は生きる」からである。
12 律法は信仰に基いているものではない。かえって、「律法を行う者は律法によって生きる」のである。
13 キリストは、わたしたちのためにのろいとなって、わたしたちを律法ののろいからあがない出して下さった。聖書に、「木にかけられる者は、すべてのろわれる」と書いてある。
「呪い」という言葉を聞くと、ホラー映画に出てくるような禍々しいビジュアルを連想してしまうかもしれないが、聖書が啓示している「呪い」とは、霊的かつ包括的な真理である。かなり長く、とても厳しい内容なので読者によっては様々な反応が出てくると思うが、律法の中に実際に書かれている「呪い」についての聖句を引用してみたい。
申命記28:15-68
15 しかし、あなたの神、主の声に聞き従わず、きょう、わたしが命じるすべての戒めと定めとを守り行わないならば、このもろもろののろいがあなたに臨み、あなたに及ぶであろう。
16 あなたは町のうちでものろわれ、畑でものろわれ、
17 あなたのかごも、こねばちものろわれ、
18 あなたの身から生れるもの、地に産する物、牛の子、羊の子ものろわれるであろう。
19 あなたは、はいるにものろわれ、出るにものろわれるであろう。
20 主はあなたが手をくだすすべての働きにのろいと、混乱と、懲しめとを送られ、あなたはついに滅び、すみやかにうせ果てるであろう。これはあなたが悪をおこなってわたしを捨てたからである。
21 主は疫病をあなたの身につかせ、あなたが行って取る地から、ついにあなたを断ち滅ぼされるであろう。
22 主はまた肺病と熱病と炎症と間けつ熱と、かんばつと、立ち枯れと、腐り穂とをもってあなたを撃たれるであろう。これらのものはあなたを追い、ついにあなたを滅ぼすであろう。
23 あなたの頭の上の天は青銅となり、あなたの下の地は鉄となるであろう。
24 主はあなたの地の雨を、ちりと、ほこりに変らせ、それが天からあなたの上にくだって、ついにあなたを滅ぼすであろう。
25 主はあなたを敵の前で敗れさせられるであろう。あなたは一つの道から彼らを攻めて行くが、彼らの前で七つの道から逃げ去るであろう。そしてあなたは地のもろもろの国に恐るべき見せしめとなるであろう。
26 またあなたの死体は空のもろもろの鳥と、地の獣とのえじきとなり、しかもそれを追い払う者はないであろう。
27 主はエジプトの腫物と潰瘍と壊血病とひぜんとをもってあなたを撃たれ、あなたはいやされることはないであろう。
28 また主はあなたを撃って気を狂わせ、目を見えなくし、心を混乱させられるであろう。
29 あなたは盲人が暗やみに手探りするように、真昼にも手探りするであろう。あなたは行く道で栄えることがなく、ただ常にしえたげられ、かすめられるだけで、あなたを救う者はないであろう。
30 あなたは妻をめとっても、ほかの人が彼女と寝るであろう。家を建てても、その中に住まないであろう。ぶどう畑を作っても、その実を摘み取ることがないであろう。
31 あなたの牛が目の前でほふられても、あなたはそれを食べることができず、あなたのろばが目の前で奪われても、返されないであろう。あなたの羊が敵のものになっても、それを救ってあなたに返す者はないであろう。
32 あなたのむすこや娘は他国民にわたされる。あなたの目はそれを見、終日、彼らを慕って衰えるが、あなたは手を施すすべもないであろう。
33 あなたの地の産物およびあなたの労して獲た物はみなあなたの知らない民が食べるであろう。あなたは、ただ常にしえたげられ、苦しめられるのみであろう。
34 こうしてあなたは目に見る事柄によって、気が狂うにいたるであろう。
35 主はあなたのひざと、はぎとに悪い、いやし得ない腫物を生じさせて、足の裏から頭の頂にまで及ぼされるであろう。
36 主はあなたとあなたが立てた王とを携えて、あなたもあなたの先祖も知らない国に移されるであろう。あなたはそこで木や石で造ったほかの神々に仕えるであろう。
37 あなたは主があなたを追いやられるもろもろの民のなかで驚きとなり、ことわざとなり、笑い草となるであろう。
38 あなたが多くの種を畑に携えて出ても、その収穫は少ないであろう。いなごがそれを食いつくすからである。
39 あなたがぶどう畑を作り、それにつちかっても、そのぶどう酒を飲むことができず、その実を集めることもないであろう。虫がそれを食べるからである。
40 あなたの国にはあまねくオリブの木があるであろう。しかし、あなたはその油を身に塗ることができないであろう。その実がみな落ちてしまうからである。
41 むすこや、娘があなたに生れても、あなたのものにならないであろう。彼らは捕えられて行くからである。
42 あなたのもろもろの木、および地の産物は、いなごが取って食べるであろう。
43 あなたのうちに寄留する他国人は、ますます高くなり、あなたの上に出て、あなたはますます低くなるであろう。
44 彼はあなたに貸し、あなたは彼に貸すことができない。彼はかしらとなり、あなたは尾となるであろう。
45 このもろもろののろいが、あなたに臨み、あなたを追い、ついに追いついて、あなたを滅ぼすであろう。これはあなたの神、主の声に聞き従わず、あなたに命じられた戒めと定めとを、あなたが守らなかったからである。
46 これらの事は長くあなたとあなたの子孫のうえにあって、しるしとなり、また不思議となるであろう。
47 あなたがすべての物に豊かになり、あなたの神、主に心から喜び楽しんで仕えないので、
48 あなたは飢え、かわき、裸になり、すべての物に乏しくなって、主があなたにつかわされる敵に仕えるであろう。敵は鉄のくびきをあなたのくびにかけ、ついにあなたを滅ぼすであろう。
49 すなわち主は遠い所から、地のはてから一つの民を、はげたかが飛びかけるように、あなたに攻めきたらせられるであろう。これはあなたがその言葉を知らない民、
50 顔の恐ろしい民であって、彼らは老人の身を顧みず、幼い者をあわれまず、
51 あなたの家畜が産むものや、地の産物を食って、あなたを滅ぼし、穀物をも、酒をも、油をも、牛の子をも、羊の子をも、あなたの所に残さず、ついにあなたを全く滅ぼすであろう。
52 その民は全国ですべての町を攻め囲み、ついにあなたが頼みとする、堅固な高い石がきをことごとく撃ちくずし、あなたの神、主が賜わった国のうちのすべての町々を攻め囲むであろう。
53 あなたは敵に囲まれ、激しく攻めなやまされて、ついにあなたの神、主が賜わったあなたの身から生れた者、むすこ、娘の肉を食べるに至るであろう。
54 あなたがたのうちのやさしい、温和な男でさえも、自分の兄弟、自分のふところの妻、最後に残っている子供にも食物を惜しんで与えず、
55 自分が自分の子供を食べ、その肉を少しでも、この人々のだれにも与えようとはしないであろう。これは敵があなたのすべての町々を囲み、激しく攻め悩まして、何をもその人に残さないからである。
56 またあなたがたのうちのやさしい、柔和な女、すなわち柔和で、やさしく、足の裏を土に付けようともしない者でも、自分のふところの夫や、むすこ、娘にもかくして、
57 自分の足の間からでる後産や、自分の産む子をひそかに食べるであろう。敵があなたの町々を囲み、激しく攻めなやまして、すべての物が欠乏するからである。
58 もしあなたが、この書物にしるされているこの律法のすべての言葉を守り行わず、あなたの神、主というこの栄えある恐るべき名を恐れないならば、
59 主はあなたとその子孫の上に激しい災を下されるであろう。その災はきびしく、かつ久しく、その病気は重く、かつ久しいであろう。
60 主はまた、あなたが恐れた病気、すなわちエジプトのもろもろの病気を再び臨ませて、あなたの身につかせられるであろう。
61 またこの律法の書にのせてないもろもろの病気と、もろもろの災とを、主はあなたが滅びるまで、あなたの上に下されるであろう。
62 あなたがたは天の星のように多かったが、あなたの神、主の声に聞き従わなかったから、残る者が少なくなるであろう。
63 さきに主があなたがたを良くあしらい、あなたがたを多くするのを喜ばれたように、主は今あなたがたを滅ぼし絶やすのを喜ばれるであろう。あなたがたは、はいって取る地から抜き去られるであろう。
64 主は地のこのはてから、かのはてまでのもろもろの民のうちにあなたがたを散らされるであろう。その所で、あなたもあなたの先祖たちも知らなかった木や石で造ったほかの神々にあなたは仕えるであろう。
65 その国々の民のうちであなたは安きを得ず、また足の裏を休める所も得られないであろう。主はその所で、あなたの心をおののかせ、目を衰えさせ、精神を打ちしおれさせられるであろう。
66 あなたの命は細い糸にかかっているようになり、夜昼恐れおののいて、その命もおぼつかなく思うであろう。
67 あなたが心にいだく恐れと、目に見るものによって、朝には『ああ夕であればよいのに』と言い、夕には『ああ朝であればよいのに』と言うであろう。
68 主はあなたを舟に乗せ、かつてわたしがあなたに告げて、『あなたは再びこれを見ることはない』と言った道によって、あなたをエジプトへ連れもどされるであろう。あなたがたはそこで男女の奴隷として敵に売られるが、だれも買う者はないであろう」。
病気、疫病、飢饉、災害、死、精神衰弱、混乱、発狂、残虐な敵による侵略と略奪、貧困、奴隷化、捕囚、離散、恐怖、不安、絶望、人食に至るまで、ありとあらゆる悲惨な結果が列挙されている。物理的現象による厳しい状況もさることながら、その極限の精神状態による喪失感がこれほど的確に描写されていることに驚く。
28 また主はあなたを撃って気を狂わせ、目を見えなくし、心を混乱させられるであろう。
29 あなたは盲人が暗やみに手探りするように、真昼にも手探りするであろう。
34 こうしてあなたは目に見る事柄によって、気が狂うにいたるであろう。
65 その国々の民のうちであなたは安きを得ず、また足の裏を休める所も得られないであろう。主はその所で、あなたの心をおののかせ、目を衰えさせ、精神を打ちしおれさせられるであろう。
66 あなたの命は細い糸にかかっているようになり、夜昼恐れおののいて、その命もおぼつかなく思うであろう。
67 あなたが心にいだく恐れと、目に見るものによって、朝には『ああ夕であればよいのに』と言い、夕には『ああ朝であればよいのに』と言うであろう。
心身共に疲労困憊し、不安や恐れ、孤独、喪失感、虚無感に押し潰されながら、朝起きて一日と向き合わなければならない絶望感。暗闇の中で悪夢に目を覚ます恐怖。どうしようもない息苦しさ。心の中に横たわっている「死」。
これらのすべてが、律法のすべての言葉を守り行わず、主なる神の名を恐れない結果としての「呪い」だと書かれているのである。しかし、誰が律法の全ての言葉を守っていると言えるのだろうか。誰が、律法の中で最も大切な二つの戒め、『心をつくし、精神をつくし、思いをつくして、主なるあなたの神を愛せよ』『自分を愛するようにあなたの隣り人を愛せよ』を完全に守っている、と口にすることができるだろうか。使徒パウロが言っているように、「律法の行いによる者は、皆のろいの下にある」、つまり全ての人間が呪いの中に閉じ込められ、自分の力ではその中から出てくることができない「囚人」であり、「奴隷」なのである。
キリストは、わたしたちのためにのろいとなって、わたしたちを律法ののろいからあがない出して下さった。聖書に、「木にかけられる者は、すべてのろわれる」と書いてある。
「キリストが私達のために呪いとなった」という時の「呪い」とは、まさに前述した「律法の呪い」を十字架の上で背負って下さったことをさし、「私達を律法の呪いから贖い出して下さった」と言う時、まさにこのような「呪いの束縛状態」から、十字架の死という高価な代価を払って解放して下さったことを啓示しているのである。
もしあなたが暗闇の中で一人、今にも切れてしまいそうな細い糸にぶら下がっているような状況で苦しんでいるのなら、同じ暗闇の中で十字架にかけられ、全てのものに見捨てられた御子イエスがあなたの目の前にいることを信じて欲しい。そう、あなたはその十字架にかけられたイエス・キリストにすがりつくことができるのだ。そして、あなたの魂は「呪い」から解放され、救いの喜びに満たされるだろう。
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