ボローニャ市から約30kmのところにある、人口1万5千人ほどの町モリネッラ(Molinella)。町の中心の通りには、その名も「傾いた鐘楼」(Il Campanile Pendente)という塔がある。
イタリアではこのように傾いた古い塔や建物は特に珍しくないが(一番有名なのはピサの斜塔だが、ボローニャやヴェネツィアなどにもある)、実際に近くで見ると写真でみる以上に異様で、見上げるように何度も見ていると、軽い船酔いしたような気分になる。
ヴィンチェンツォ・サンティーニによって1750年に建てられたが、すぐに傾き始めたので1763年に上部のバロック様式の鐘つり構造の部分を修正した。しかし倒壊の恐れがあったので、1909年に鐘つり構造の部分だけを撤去。下の写真は、撤去前の1902年の写真で、傾いた塔に対してバランスをとろうと補正した痕跡が記録されている。
斜塔の足元にあった標識の説明文の最後には、「安定性のための補強工事が施された上、頻繁に点検されています」と書かれている。「倒れませんので、ご安心ください」といったところだろうか。