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「燃え尽き症候群」と「労苦に対する報い」

脳卒中専門医の4割が燃え尽き症候群- 九州大と国循の研究チーム | 医療介護CBニュース

 研究チームによると、燃え尽き症候群は、感情的な極度の疲労感と自分の周りがどうなっても構わないとの感情を特徴として、仕事上の能率低下をもたらす病態。その原因は一般的に、職務上の献身的な努力に対して報われないことがあるという。欧米では、医師の4割前後に燃え尽き症候群の疑いがあり、医療事故につながるなどの社会問題となってきたが、日本ではこれまで大規模調査が行われていなかった。

  この心的現象は、現代医療という分野だけに限らず、時代を超えて聖書のなかにも見つけられる。預言者エリヤがイゼベルの迫害を受けた時に荒野でとった態度など、典型的なものだろう。

Ⅰ列王19:1-14

1 アハブはエリヤのしたすべての事、また彼がすべての預言者を刀で殺したことをイゼベルに告げたので、 

2 イゼベルは使者をエリヤにつかわして言った、「もしわたしが、あすの今ごろ、あなたの命をあの人々のひとりの命のようにしていないならば、神々がどんなにでも、わたしを罰してくださるように」。 

3 そこでエリヤは恐れて、自分の命を救うために立って逃げ、ユダに属するベエルシバへ行って、しもべをそこに残し、 

4 自分は一日の道のりほど荒野にはいって行って、れだまの木の下に座し、自分の死を求めて言った、「主よ、もはや、じゅうぶんです。今わたしの命を取ってください。わたしは先祖にまさる者ではありません」。 

5 彼はれだまの木の下に伏して眠ったが、天の使が彼にさわり、「起きて食べなさい」と言ったので、 

6 起きて見ると、頭のそばに、焼け石の上で焼いたパン一個と、一びんの水があった。彼は食べ、かつ飲んでまた寝た。 

7 主の使は再びきて、彼にさわって言った、「起きて食べなさい。道が遠くて耐えられないでしょうから」。 

8 彼は起きて食べ、かつ飲み、その食物で力づいて四十日四十夜行って、神の山ホレブに着いた。 

9 その所で彼はほら穴にはいって、そこに宿ったが、主の言葉が彼に臨んで、彼に言われた、「エリヤよ、あなたはここで何をしているのか」。 

10 彼は言った、「わたしは万軍の神、主のために非常に熱心でありました。イスラエルの人々はあなたの契約を捨て、あなたの祭壇をこわし、刀をもってあなたの預言者たちを殺したのです。ただわたしだけ残りましたが、彼らはわたしの命を取ろうとしています」。 

11 主は言われた、「出て、山の上で主の前に、立ちなさい」。その時主は通り過ぎられ、主の前に大きな強い風が吹き、山を裂き、岩を砕いた。しかし主は風の中におられなかった。風の後に地震があったが、地震の中にも主はおられなかった。 

12 地震の後に火があったが、火の中にも主はおられなかった。火の後に静かな細い声が聞えた。 

13 エリヤはそれを聞いて顔を外套に包み、出てほら穴の口に立つと、彼に語る声が聞えた、「エリヤよ、あなたはここで何をしているのか」。 

14 彼は言った、「わたしは万軍の神、主のために非常に熱心でありました。イスラエルの人々はあなたの契約を捨て、あなたの祭壇をこわし、刀であなたの預言者たちを殺したからです。ただわたしだけ残りましたが、彼らはわたしの命を取ろうとしています」。 

 三年半にも及ぶ大飢饉を信仰によって耐え忍び、カルメル山の上でただ一人イスラエルの背教の霊と戦って勝利したエリヤは、自分の信仰に基づいた行動が極悪王妃イゼベルを屈服させるどころか、何の効果も得られず、逆にさらに状況を悪化させたことに激しく失望したのだろう。

 しかし冒頭の記事を読んで、私の頭の浮かんだのは、旧約聖書のマラキ書の一節である。

マラキ3:13-15

13 主は言われる、あなたがたは言葉を激しくして、わたしに逆らった。しかもあなたがたは『われわれはあなたに逆らって、どんな事を言ったか』と言う。 

14 あなたがたは言った、『神に仕える事はつまらない。われわれがその命令を守り、かつ万軍の主の前に、悲しんで歩いたからといって、なんの益があるか。 

15 今われわれは高ぶる者を、祝福された者と思う。悪を行う者は栄えるばかりでなく、神を試みても罰せられない』」。

 バビロニア捕囚から戻り、部分的とはいえエルサレムの神殿を再建することができたイスラエルの民は、それでもシンプルな心で主なる神に仕える事が出来ず、蔓延る不義に気を取られ、不信感のなかでやる気を失っていた。「献身的に仕えたとしても、何の報いもない。ずる賢くやっている者たちの方が、問題なく生きている。」

 イエス・キリストは、終わりの日の兆候として、このような心的状態が蔓延るであろうと預言している。

マタイ24:10-13

10 そのとき、多くの人がつまずき、また互に裏切り、憎み合うであろう。 

11 また多くのにせ預言者が起って、多くの人を惑わすであろう。 

12 また不法がはびこるので、多くの人の愛が冷えるであろう。 

13 しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われる。 

 不法不義が蔓延り、人々は自己保身に走り、他人や周りの必要に無関心になるだろう。しかし、「最後まで耐え忍ぶ者は救われる」のである。勿論、「耐え忍ぶ」とは、「陰に隠れて、ただひたすらじっと我慢している」という意味ではない。「耐え忍んで、主なる神に仕え続ける」「最初の愛を最後まで保ち、主に従っていく」という意味である。実際、マラキの言葉は以下のように続いている。

マラキ3:16-18

16 そのとき、主を恐れる者は互に語った。主は耳を傾けてこれを聞かれた。そして主を恐れる者、およびその名を心に留めている者のために、主の前に一つの覚え書がしるされた。 

17 「万軍の主は言われる、彼らはわたしが手を下して事を行う日に、わたしの者となり、わたしの宝となる。また人が自分に仕える子をあわれむように、わたしは彼らをあわれむ。 

18 その時あなたがたは、再び義人と悪人、神に仕える者と、仕えない者との区別を知るようになる。 

  使徒パウロも「イエス・キリストによる復活」というテーマの締めとして、使徒ペテロは「終わりの日における神の義の完全な顕現」というテーマの結論に、同じ霊によって励ましの言葉を書き記している。

Ⅰコリント15:56-58

56 死のとげは罪である。罪の力は律法である。 

57 しかし感謝すべきことには、神はわたしたちの主イエス・キリストによって、わたしたちに勝利を賜わったのである。 

58 だから、愛する兄弟たちよ。堅く立って動かされず、いつも全力を注いで主のわざに励みなさい。主にあっては、あなたがたの労苦がむだになることはないと、あなたがたは知っているからである。  

Ⅱペテロ3:1,2;17,18

1 愛する者たちよ。わたしは今この第二の手紙をあなたがたに書きおくり、これらの手紙によって記憶を呼び起し、あなたがたの純真な心を奮い立たせようとした。 

2 それは、聖なる預言者たちがあらかじめ語った言葉と、あなたがたの使徒たちが伝えた主なる救主の戒めとを、思い出させるためである。 

17 愛する者たちよ。それだから、あなたがたはかねてから心がけているように、非道の者の惑わしに誘い込まれて、あなたがた自身の確信を失うことのないように心がけなさい。 

18 そして、わたしたちの主また救主イエス・キリストの恵みと知識とにおいて、ますます豊かになりなさい。栄光が、今も、また永遠の日に至るまでも、主にあるように、アァメン。 

  終わりの時にあっても、神の言葉によって純真な心を奮い立たせ、全力を注いで主に仕え続けよう。それによって私達は、さらにイエス・キリストとの深い交わりを知るのだ。それが私達のこの地上における労苦に対する「最高の報い」であり、不義を愛する者には決して理解することも手にすることもできない「永遠の至宝」である。