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夜明けとなって、明けの明星が心の中に上るまで

ロトのことも思い出しなさい(2)

創世記19:15-20、26

15 夜が明けて、み使たちはロトを促して言った  「立って、ここにいるあなたの妻とふたりの娘とを連れ出しなさい。そうしなければ、あなたもこの町の不義のために滅ぼされるでしょう」。 

16 彼はためらっていたが、主は彼にあわれみを施されたので、かのふたりは彼の手と、その妻の手と、ふたりの娘の手を取って連れ出し、町の外に置いた。 

17 彼らを外に連れ出した時そのひとりは言った、「のがれて、自分の命を救いなさい。うしろをふりかえって見てはならない。低地にはどこにも立ち止まってはならない。山にのがれなさい。そうしなければ、あなたは滅びます」。 

18 ロトは彼らに言った、「わが主よ、どうか、そうさせないでください。 

19 しもべはすでにあなたの前に恵みを得ました。あなたはわたしの命を救って、大いなるいつくしみを施されました。しかしわたしは山まではのがれる事ができません。災が身に追い迫ってわたしは死ぬでしょう。 

20 あの町をごらんなさい。逃げていくのに近く、また小さい町です。どうかわたしをそこにのがれさせてください。それは小さいではありませんか。そうすればわたしの命は助かるでしょう」。

26  しかしロトの妻はうしろを顧みたので塩の柱になった。

  ためらっていたロトと彼の妻の手を取り、主の憐みによって御使いは彼らを町から引っ張るように連れ出した。この御使いが連れ出さなかったら、ロトはためらい続けていたかもしれない。一歩を踏み出す決断力も勇気もなかっただろう。御使いは、町の外へ連れ出すと、ロトに命じた。「のがれて、自分の命を救いなさい。うしろをふりかえって見てはならない。低地にはどこにも立ち止まってはならない。山にのがれなさい。そうしなければ、あなたは滅びます」と。文脈から判断すると、この時点で御使いたちは握っていた手を離し、それ故ロトたちは命令に従って自分たちの力で山まで歩かなければならなかった。

 しかしここでロトは御使いに反論した。「わが主よ、どうか、そうさせないでください。」そして、自分で避難所として最適だと思うところを選んで、そこに逃れさせてくれ、と懇願した。このロトの御使いの言葉に従わないで、自分で解決策を見出そうとする態度は、後日近親相姦というおぞましい実を生むことになってしまった。当然、その態度はロトの妻にも悪影響を与え、「うしろをふりかえって見てはならない」と御使いに言われていたのに、その命令に背いて塩の柱と化した。

 魂の救いのプロセスにおいて、最初の段階ではまるで引っ張られているような神の力を感じるものだ。聖書の御言葉は力強く語りかけてき、目に見える不思議な現象が数々起きたりして、見えない神の手を感じるのだ。全て神の憐みによる。

 しかしある時から、そのような霊的牽引力を感じられない時期が来る。心が沸き立つような現象は起こらず、全ては同じことの繰り返しのように感じられるのだ。聖書を開いても、何もひっかからず、視線がページの上を彷徨うだけだ。

 だがたとい心に力強い牽引力を感じなくても、あなたに対する神の御心は全く初めから変わっていない。あなたに対して語られた御言葉も変わってはいない。「のがれて、自分の命を救いなさい。うしろをふりかえって見てはならない。低地にはどこにも立ち止まってはならない。山にのがれなさい。そうしなければ、あなたは滅びます」。ロトのように主の命令に反発してはならない。また自分で妥協策を見出してはならない。それは、あなたの命だけの問題ではなく、あなたの周りにいる人々にも深刻な影響を与えてしまうから。神の御言葉を心に刻み込んで、一歩一歩信仰によって進んでいこう。

 使徒パウロは、自分の福音伝道によって救われたピリピの信者たちに対して、以下のように手紙で励ましている。パウロはできることなら、彼らと共にいて、彼らの成長をそばで導いてあげたかっただろう。しかし、それはできなかった。だから手紙を書いて彼らの信仰を励まそうとしたのである。

ピリピ2:12-15

12 わたしの愛する者たちよ。そういうわけだから、あなたがたがいつも従順であったように、わたしが一緒にいる時だけでなく、いない今は、いっそう従順でいて、恐れおののいて自分の救の達成に努めなさい。 

13 あなたがたのうちに働きかけて、その願いを起させ、かつ実現に至らせるのは神であって、それは神のよしとされるところだからである。 

14 すべてのことを、つぶやかず疑わないでしなさい。 

15 それは、あなたがたが責められるところのない純真な者となり、曲った邪悪な時代のただ中にあって、傷のない神の子となるためである。あなたがたは、いのちの言葉を堅く持って、彼らの間で星のようにこの世に輝いている。 

 同じ手紙が二千年後の終わりの時に生きる私達の目の前にある。何という奇蹟だろうか!

ロトのことも思い出しなさい(3)恐れに蝕まれた心 - an east window