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夜明けとなって、明けの明星が心の中に上るまで

癌細胞に変化する寄生虫

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 「寄生虫」とか「条虫」という言葉を聞くだけで、体中に寒気が走るが、人体に寄生した条虫が癌細胞に変化するケースが発見されたとは、何と不気味なニュースだろうか。エイズウィルスの感染している男性の体で発見されたケースということだが、おそらく寄生していた体のエイズウィルスに条虫の細胞が感染し、突然変異を起こし、癌細胞として増殖したということなのだろうか。

 この癌細胞に変化する寄生虫のことを読んで、聖書の以下の句を思い出した。

Ⅱテモテ2:16-18

16 俗悪なむだ話を避けなさい。それによって人々は、ますます不信心に落ちていき、

17 彼らの言葉は、がんのように腐れひろがるであろう。その中にはヒメナオとピレトとがいる。

18 彼らは真理からはずれ、復活はすでに済んでしまったと言い、そして、ある人々の信仰をくつがえしている。 

 ヒメナオとピレトは元々エペソ教会に属し、その中で教師か長老の立場にいたと言われている。それがいつの間にか、俗悪な無駄話に入れ込んでいくうちに、不信心に落ちてゆき、真理から外れてしまったのであった。「外れる」と和訳されている原語「ἀστοχέω astocheō」の直義は「的を外す」で、目標を失い、道から迷い出てしまうニュアンスである。これはつまり、ヒメナオとピレトは、少なくともある時期までは目標に向かって他の信徒と共に「真理の道」を歩んでいた、ということを意味する。

 彼らは信仰者として教会、つまり「キリストの体」に属していたのである。それがいつの間にか、キリストの体の中でまるで「増殖する癌細胞」のようになってしまったのである。何と恐ろしいことだろうか。

 特にヒメナオに関しては、使徒パウロは『第一テモテの手紙』の中で、すでに言及していた。

Ⅰテモテ1:19-20

19 ある人々は、正しい良心を捨てたため、信仰の破船に会った。

20 その中に、ヒメナオとアレキサンデルとがいる。わたしは、神を汚さないことを学ばせるため、このふたりをサタンの手に渡したのである。

 使徒パウロはヒメナオに「神を汚さないことを学ばせるため」、教会の交わりから断ち切っていたのである。勿論、「サタンの手に渡した」とは、ヒメナオがサタンの奴隷となって滅びへ向かっていくようにした、という意味ではなく、ヒメナオが神の祝福から引き離され、自分の悪の中で我に返り、悔い改めて神に帰ることを願っていたからである。

 コリントの教会で近親相姦の罪を犯していた信徒に対して、使徒パウロは「彼をサタンに引き渡してしまったのである」と書き、コリント教会に「その悪人を、あなたがたの中から除いてしまいなさい」とまで命じた。

Ⅰコリント5:1-5

1 現に聞くところによると、あなたがたの間に不品行な者があり、しかもその不品行は、異邦人の間にもないほどのもので、ある人がその父の妻と一緒に住んでいるということである。

2 それだのに、なお、あなたがたは高ぶっている。むしろ、そんな行いをしている者が、あなたがたの中から除かれねばならないことを思って、悲しむべきではないか。

3 しかし、わたし自身としては、からだは離れていても、霊では一緒にいて、その場にいる者のように、そんな行いをした者を、すでにさばいてしまっている。

4 すなわち、主イエスの名によって、あなたがたもわたしの霊も共に、わたしたちの主イエスの権威のもとに集まって、 

5 彼の肉が滅ぼされても、その霊が主のさばきの日に救われるように、彼をサタンに引き渡してしまったのである。 

Ⅰコリント5:11-13

11 しかし、わたしが実際に書いたのは、兄弟と呼ばれる人で、不品行な者、貪欲な者、偶像礼拝をする者、人をそしる者、酒に酔う者、略奪をする者があれば、そんな人と交際をしてはいけない、食事を共にしてもいけない、ということであった。

12 外の人たちをさばくのは、わたしのすることであろうか。あなたがたのさばくべき者は、内の人たちではないか。外の人たちは、神がさばくのである。 

13 その悪人を、あなたがたの中から除いてしまいなさい。

 しかし教会がその難しい選択を神に対する畏れをもって実行したことによって、神はその「悪人」を再び悔い改めに導いてくださったことが、使徒パウロの第二の手紙によって記録されている。

Ⅱコリント2:6-8

6 その人にとっては、多数の者から受けたあの処罰でもう十分なのだから、 

7 あなたがたはむしろ彼をゆるし、また慰めてやるべきである。そうしないと、その人はますます深い悲しみに沈むかも知れない。

8 そこでわたしは、彼に対して愛を示すように、あなたがたに勧める。 

 しかしヒメナオの場合は違った。彼は悔い改めるどころか、「ますます不信心に落ちていき」、自分が「腐っていく」だけでなく、エペソ教会の信徒たちの信仰をくつがえしていた。18節の「くつがえしている」は現在形である。つまり、使徒パウロが信徒の交わりを守るために共同体からヒメナオを追放したにもかかわらず、ヒメナオは教会の信徒たちと密かに接触し続け、偽りの教えを癌のように増殖させ、人々の信仰を覆していたのである。使徒パウロが以下のように書いたとき、ヒメナオのような偽教師のことが念頭にあったのだろう。

Ⅱテモテ3:6

彼らの中には、人の家にもぐり込み、そして、さまざまの欲に心を奪われて、多くの罪を積み重ねている愚かな女どもを、とりこにしている者がある。 

 もともと「キリストの体」に属していたのに、いつの間にか「寄生虫」になり、自らの偽りの教えによって自分が「癌細胞」に変わり、そしてその「癌細胞」を「キリストの体」の中で増殖させていたのである。

 聖書の霊感を否定する者やイエス・キリストの神性や贖罪のわざを否定する者が、『ブログ村』の「キリスト教」のカテゴリーにおいても投稿しているのは、非常に象徴的である。

 見聞きすることによく注意し、聖霊による守りの約束に全てを委ねよう。

Ⅰテサロニケ5:21-24

21 すべてのものを識別して、良いものを守り、

22 あらゆる種類の悪から遠ざかりなさい。

23 どうか、平和の神ご自身が、あなたがたを全くきよめて下さるように。また、あなたがたの霊と心とからだとを完全に守って、わたしたちの主イエス・キリストの来臨のときに、責められるところのない者にして下さるように。

24 あなたがたを召されたかたは真実であられるから、このことをして下さるであろう。 

 

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