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夜明けとなって、明けの明星が心の中に上るまで

生けるキリストを求めて(23)アブラハムに対する二つの約束

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創世記15:1-6

1 これらの事の後、主の言葉が幻のうちにアブラムに臨んだ、「アブラムよ恐れてはならない、わたしはあなたの盾である。あなたの受ける報いは、はなはだ大きいであろう」。

2 アブラムは言った、「主なる神よ、わたしには子がなく、わたしの家を継ぐ者はダマスコのエリエゼルであるのに、あなたはわたしに何をくださろうとするのですか」。

3 アブラムはまた言った、「あなたはわたしに子を賜わらないので、わたしの家に生れたしもべが、あとつぎとなるでしょう」。

4 この時、主の言葉が彼に臨んだ、「この者はあなたのあとつぎとなるべきではありません。あなたの身から出る者があとつぎとなるべきです」。

5 そして主は彼を外に連れ出して言われた、「天を仰いで、星を数えることができるなら、数えてみなさい」。また彼に言われた、「あなたの子孫はあのようになるでしょう」。

6 アブラムは主を信じた。主はこれを彼の義と認められた。 

創世記15:7-21

7 また主は彼に言われた、「わたしはこの地をあなたに与えて、これを継がせようと、あなたをカルデヤのウルから導き出した主です」。

8 彼は言った、「主なる神よ、わたしがこれを継ぐのをどうして知ることができますか」。

9 主は彼に言われた、「三歳の雌牛と、三歳の雌やぎと、三歳の雄羊と、山ばとと、家ばとのひなとをわたしの所に連れてきなさい」。

10 彼はこれらをみな連れてきて、二つに裂き、裂いたものを互に向かい合わせて置いた。ただし、鳥は裂かなかった。

11 荒い鳥が死体の上に降りるとき、アブラムはこれを追い払った。

12 日の入るころ、アブラムが深い眠りにおそわれた時、大きな恐ろしい暗やみが彼に臨んだ。

13 時に主はアブラムに言われた、「あなたはよく心にとめておきなさい。あなたの子孫は他の国に旅びととなって、その人々に仕え、その人々は彼らを四百年の間、悩ますでしょう。

14 しかし、わたしは彼らが仕えたその国民をさばきます。その後かれらは多くの財産を携えて出て来るでしょう。

15 あなたは安らかに先祖のもとに行きます。そして高齢に達して葬られるでしょう。

16 四代目になって彼らはここに帰って来るでしょう。アモリびとの悪がまだ満ちないからです」。

17 やがて日は入り、暗やみになった時、煙の立つかまど、炎の出るたいまつが、裂いたものの間を通り過ぎた。

18 その日、主はアブラムと契約を結んで言われた、「わたしはこの地をあなたの子孫に与える。エジプトの川から、かの大川ユフラテまで。

19 すなわちケニびと、ケニジびと、カドモニびと、

20 ヘテびと、ペリジびと、レパイムびと、

21 アモリびと、カナンびと、ギルガシびと、エブスびとの地を与える」。

 主なる神はアブラムに幻のうちに語りかけた。光り輝く主なる神の栄光の姿を啓示したわけではなく、御言葉によってアブラムに語りかけた。

「アブラムよ恐れてはならない、わたしはあなたの盾である。あなたの受ける報いは、はなはだ大きいであろう」。

 この言葉はアブラムがこの時、移住の地カナンにおいて、まるで敵陣の中に無防備に放り込まれたような孤独を感じ、将来に不安を覚えていたことを暗示している。だからこそ主なる神は、「恐れてはならない。私はあなたの盾である」とアブラムを励ましたのだろう。

 そして「信仰によって受ける報い」が如何なるものか、アブラムに啓示した。それは、以下の二つである。

  • 「あなたの子孫は満天の星のようになる」
  • 「わたしはカナンの地をあなたに与えて、その地を継がせる」

 今回、冒頭の引用において、第十五章を二つにあえて分けたのは、この二つの約束の質的な違いに気付いたからである。

 第一の約束に対して、主なる神はただアブラムに言葉をかけ、天幕の外へ連れ出し、「天を仰いで、星を数えることができるなら、数えてみなさい」「あなたの子孫はあのようになるでしょう」と言っただけである。主なる神は、アブラムが驚くような、天空に特別な幻を投影しなかったし、よくある星座のイラストのように、星を使ってイサクやヤコブ、ヨセフ、ダビデなどの姿を描き出しもしなかった。ただ単純にいつもの満天の星空を示し、「あなたの子孫はあのようになるでしょう」と約束されたのである。またアブラムをその約束を実に率直に信じた。アブラムは星を数え始めなかった。ただ信じたのである。それによって神はアブラムを「正しい」と認めたのである。

 第一の約束とは対照的に、第二の約束「わたしはカナンの地をあなたに与えて、その地を継がせる」は、何と複雑でドラマチックであろうか。約束の成就のしるしを求めたアブラムに対して、主なる神はまず「三歳の雌牛と、三歳の雌やぎと、三歳の雄羊と、山ばとと、家ばとのひなとをわたしの所に連れてきなさい」と命じ、アブラムはそれらの動物を、鳥以外、真っ二つに裂き、互に向かい合わせて置いた。そして主なる神は半日近く待ち、夕暮れ時になってアブラムに深い眠りが襲い大きな恐ろしい暗闇がアブラムに臨むまで、アブラムに語りかけるのを待たれた。そしてその啓示の内容と言えば、四百年に及ぶエジプトにおけるイスラエルの民の奴隷生活とそこからの解放、約束の地への帰還、そしてアブラムの死である。血生臭く横たわる生贄を前にして聞くには、強烈なメッセージである。

 そして締めにその約束を契約の言葉とするため、「煙の立つかまど、炎の出るたいまつが、裂いたものの間を通り過ぎた」のである。何というビジョンだろうか。

 これらの二つの約束の啓示のコントラストに関して、様々な解釈ができるだろう。第一の約束は、イエス・キリストに対する信仰によって神に義と認められた信仰者は誰でも、そのシンプルな信仰によって神の子となり、また霊的にアブラハムの子孫になることを予示している。

ガラテヤ3:6-9;26-29

6 このように、アブラハムは「神を信じた。それによって、彼は義と認められた」のである。

7 だから、信仰による者こそアブラハムの子であることを、知るべきである。

8 聖書は、神が異邦人を信仰によって義とされることを、あらかじめ知って、アブラハムに、「あなたによって、すべての国民は祝福されるであろう」との良い知らせを、予告したのである。

9 このように、信仰による者は、信仰の人アブラハムと共に、祝福を受けるのである。

26 あなたがたはみな、キリスト・イエスにある信仰によって、神の子なのである。 

27 キリストに合うバプテスマを受けたあなたがたは、皆キリストを着たのである。

28 もはや、ユダヤ人もギリシヤ人もなく、奴隷も自由人もなく、男も女もない。あなたがたは皆、キリスト・イエスにあって一つだからである。

29 もしキリストのものであるなら、あなたがたはアブラハムの子孫であり、約束による相続人なのである。 

 第二の約束「わたしはカナンの地をあなたに与えて、その地を継がせる」は、一義的には地上におけるイスラエルの復興を意味しており、それは最終的に大患難期の後、キリスト千年王国においてのみ実現するものである。しかしその実現に至るまで、過去・現在・未来まで、何と多くの苦難・災難を通り、多くの犠牲の血が流されなければならないのだろうか。それでも神がアブラハムと交わした契約による約束は、確かに実現するだろう。

黙示録20:4-6

4 また見ていると、かず多くの座があり、その上に人々がすわっていた。そして、彼らにさばきの権が与えられていた。また、イエスのあかしをし神の言を伝えたために首を切られた人々の霊がそこにおり、また、獣をもその像をも拝まず、その刻印を額や手に受けることをしなかった人々がいた。彼らは生きかえって、キリストと共に千年の間、支配した。

5 (それ以外の死人は、千年の期間が終るまで生きかえらなかった。)これが第一の復活である。

6 この第一の復活にあずかる者は、さいわいな者であり、また聖なる者である。この人たちに対しては、第二の死はなんの力もない。彼らは神とキリストとの祭司となり、キリストと共に千年の間、支配する。  

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