an east window

夜明けとなって、明けの明星が心の中に上るまで

その愚かさに従って

箴言26:4-5

4 愚かな者には、その愚かさにしたがって答えるな。あなたも彼と同じようにならないためだ。

5 愚かな者には、その愚かさにしたがって答えよ。そうすれば彼は、自分を知恵のある者と思わないだろう。

 4節と5節は表面的に読むと矛盾しているように思える。実際、この箇所を基に聖書を批判したり揶揄(やゆ)したりする人がいたりする。しかし現実には非常に知恵と誠実に満ちている聖句である。

 まず「愚かな者には、その愚かさにしたがって答えるな」「愚かな者には、その愚かさにしたがって答えよ」と言って、ひとりの人間を「愚かな者」としているその「愚かさ」を、人格そのものから切り離して判断するように促している。つまり読者に対して、その問題点を見極め、それに性質によって正確に為すべきことを判断し、行動するように勧めているのである。これは「あいつはバカだから何言ってもダメ」という人格否定的な偏見による態度とは本質的に異なるものである。そしてなおかつ、その「愚かさ」を誤魔化したり、善い事として見なしてはいないことを意味する。

 「愚かさ」の本質を見極めるには、正しいことや良い事の本質を知らなければできないことである。それは私たちを謙遜にする。実に多くの場合、私たちはその判断基準を十分に理解していないために、独断と偏見と恐れで間違った態度をとってしまうからである。

 一朝一夕(いっちょう・いっせき)には習得できない、御言葉の光と祈りと成熟を必要とする心のあり方ではないかと思う。そしてそれは自分自身の善、そして聖別のため(「あなたも彼と同じようにならないためだ」)であり、また相手の善のため(「そうすれば彼は、自分を知恵のある者と思わないだろう」)でもある。

 特にこの複雑な世で御子イエス・キリストの福音を伝えるにあたって、必要不可欠な教えであると思う。