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an east window

夜明けとなって、明けの明星が心の中に上るまで

『The Birth of a Nation』を観て


THE BIRTH OF A NATION Movie TRAILER # 2 (2016)

 『The Birth of a Nation』を観た。私はあまり映画には詳しくないが、 黒人奴隷問題をテーマにして制作された映画で黒人が監督したものは、ネイト・パーカー監督のこの作品と、スティーブ・マックイーン監督の『12 Years a Slave』(2013)だけでないだろうか。それでもこのような映画が配給されるということは、何かが動いているのかもしれない。(映画の中で聖書の言葉が「利用」されているように、政治的なものでなければいいのだが…)

 同類の『Free State of Jones』(2016)はギャリー・ロス監督、少し遡って『Amistad』(1997)や『The Color Purple』(1985)は、あのスティーヴン・スピルバーグ監督作で、いずれも白人である。

 ホロコーストをテーマにした映画が、ユダヤ人の監督によって数多く制作されていることと合わせて考えると興味深い。余談だが、個人的には9時間以上(DVDで3枚!観る前にそれなりの心の準備が必要)にも及ぶクロード・ランズマン監督の『Shoah』(1985)が、最も優れた作品ではないかと思う。

 映画という特殊な表現手段という点を考慮したとしても、自らの汚点を何とか振り返ろうとする加害者側と、被害者側の双方の視点があってこそ、少しでもより公平な見方を次の世代に伝えることができるのかもしれない。

 しかし『The Birth of a Nation』の中で、黒人の子供や女性、老人が木に架けられている場面に流れる『奇妙な果実』は、悲痛である。私が中学生の時、スピリチュアルスやブルースのボロボロのレコードを借りてきて聴きまくっていた時期があったが、ビリー・ホリデーが歌う『奇妙な果実』は今でも耳に残っている。


Billie Holiday-Strange fruit- HD

 

Southern trees bear strange fruit 

Blood on the leaves and blood at the root

Black bodies swinging in the southern breeze

Strange fruit hanging from the poplar trees.

Pastoral scene of the gallant south

The bulging eyes and the twisted mouth

Scent of magnolias sweet and fresh

Then the sudden smell of burning flesh.

Here is a fruit for the crows to pluck 

For the rain to gather for the wind to suck

For the sun to rot for the trees to drop

Here is a strange and bitter crop. 

 

南部の木には奇妙な果実がなる

葉には血が、根にも血を滴たらせ

南部の風に揺らいでいる黒い死体

ポプラの木に吊るされている奇妙な果実

美しい南部の田園に

飛び出した眼、苦痛に歪む口

マグノリアの甘く新鮮な香り

そして不意に 陽に灼ける肉の臭い

カラスに突つかれ

雨に打たれ 風に弄ばれ

太陽に腐り 落ちていく果実

奇妙で悲惨な果実

 

作者:

「奇妙な果実」は、ニューヨーク市ブロンクス地区のユダヤ人教師エイベル・ミーアポル(en:Abel Meeropol)によって作詞・作曲された。1930年8月、彼は新聞でトマス・シップとアブラム・スミスという二人の黒人が虐殺されている場面の写真を見て衝撃を受け、これを題材として一編の詩「苦い果実(Bitter Fruit)」を書き、「ルイス・アレン」のペンネームで共産党系の機関紙などに発表した(ミーアポルはアメリカ共産党党員であり、フランク・シナトラのヒット曲を生みだすなど作詞・作曲家ルイス・アレンとして活躍する一方で、ソ連のスパイとして死刑になったローゼンバーグ夫妻の遺児を養子として引き取るなど、社会活動も精力的に行った)。のちにみずから曲もつけ、共産党や教職者組合の集会で彼の妻が歌うようになったことで徐々に知れ渡っていった。

(いずれも奇妙な果実 - Wikipediaから引用)