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an east window

夜明けとなって、明けの明星が心の中に上るまで

『Pope Francis Declares Lucifer As God』に関する反証(3)

 旧約聖書におけるサタンの啓示は非常に断片的で、その起源に関して明示している聖句は存在しない。【サタン】という単語は、新旧約聖書全体で46回使われているが、旧約においては13回、しかもその大部分が『ヨブ記』のはじめの2章にある。

歴代上21:1

時にサタンが起ってイスラエルに敵し、ダビデを動かしてイスラエルを数えさせようとした。  

ヨブ1:6-12

6 ある日、神の子たちが来て、主の前に立った。サタンも来てその中にいた。

7 主は言われた、「あなたはどこから来たか」。サタンは主に答えて言った、「地を行きめぐり、あちらこちら歩いてきました」。

8 主はサタンに言われた、「あなたはわたしのしもべヨブのように全く、かつ正しく、神を恐れ、悪に遠ざかる者の世にないことを気づいたか」。

9 サタンは主に答えて言った、「ヨブはいたずらに神を恐れましょうか。

10 あなたは彼とその家およびすべての所有物のまわりにくまなく、まがきを設けられたではありませんか。あなたは彼の勤労を祝福されたので、その家畜は地にふえたのです。

11 しかし今あなたの手を伸べて、彼のすべての所有物を撃ってごらんなさい。彼は必ずあなたの顔に向かって、あなたをのろうでしょう」。

12 主はサタンに言われた、「見よ、彼のすべての所有物をあなたの手にまかせる。ただ彼の身に手をつけてはならない」。サタンは主の前から出て行った。 

ヨブ2:1-7

1 ある日、また神の子たちが来て、主の前に立った。サタンもまたその中に来て、主の前に立った。

2 主はサタンに言われた、「あなたはどこから来たか」。サタンは主に答えて言った、「地を行きめぐり、あちらこちら歩いてきました」。

3 主はサタンに言われた、「あなたは、わたしのしもべヨブのように全く、かつ正しく、神を恐れ、悪に遠ざかる者の世にないことを気づいたか。あなたは、わたしを勧めて、ゆえなく彼を滅ぼそうとしたが、彼はなお堅く保って、おのれを全うした」。

4 サタンは主に答えて言った、「皮には皮をもってします。人は自分の命のために、その持っているすべての物をも与えます。

5 しかしいま、あなたの手を伸べて、彼の骨と肉とを撃ってごらんなさい。彼は必ずあなたの顔に向かって、あなたをのろうでしょう」。

6 主はサタンに言われた、「見よ、彼はあなたの手にある。ただ彼の命を助けよ」。

7 サタンは主の前から出て行って、ヨブを撃ち、その足の裏から頭の頂まで、いやな腫物をもって彼を悩ました。 

ゼカリア3:1-2

1 時に主は大祭司ヨシュアが、主の使の前に立ち、サタンがその右に立って、これを訴えているのをわたしに示された。

2 主はサタンに言われた、「サタンよ、主はあなたを責めるのだ。すなわちエルサレムを選んだ主はあなたを責めるのだ。これは火の中から取り出した燃えさしではないか」。 

 これらの聖句に共通する点は、サタンが神の民や一人の信仰者に敵対し、告発する存在であることである。また主なる神の前に立ち、言葉を交わしているが、直接主なる神に対して暴言を吐いたり、罵ったりしていないのは興味深い。サタンの言動は限定的で、主なる神の権威の前でサタン自身が自分に課された制限を認識している様子(卑屈な印象が行間から伝わってこないだろうか)が記されている。  

 サタンが傲慢の罪を犯したがゆえ、光の天使の地位から落とされたことを暗示しているとの主張の根拠として引用されるイザヤ書は、文脈的にはバビロンの王について語っているものである。

イザヤ14:1-21

1 主はヤコブをあわれみ、イスラエルを再び選んで、これをおのれの地に置かれる。異邦人はこれに加わって、ヤコブの家に結びつらなり、

2 もろもろの民は彼らを連れてその所に導いて来る。そしてイスラエルの家は、主の地で彼らを男女の奴隷とし、さきに自分たちを捕虜にした者を捕虜にし、自分たちをしえたげた者を治める。

3 主があなたの苦労と不安とを除き、またあなたが服した苦役を除いて、安息をお与えになるとき、

4 あなたはこのあざけりの歌をとなえ、バビロンの王をののしって言う、「あの、しえたげる者は全く絶えてしまった。あの、おごる者は全く絶えてしまった。

5 主は悪い者のつえと、つかさびとの笏を折られた。

6 彼らは憤りをもってもろもろの民を絶えず撃っては打ち、怒りをもってもろもろの国を治めても、そのしえたげをとどめる者がなかった。

7 全地はやすみを得、穏やかになり、ことごとく声をあげて歌う。

8 いとすぎおよびレバノンの香柏でさえもあなたのゆえに喜んで言う、『あなたはすでに倒れたので、もはや、きこりが上ってきて、われわれを攻めることはない』。

9 下の陰府はあなたのために動いて、あなたの来るのを迎え、地のもろもろの指導者たちの亡霊をあなたのために起し、国々のもろもろの王をその王座から立ちあがらせる。

10 彼らは皆あなたに告げて言う、『あなたもまたわれわれのように弱くなった、あなたもわれわれと同じようになった』。

11 あなたの栄華とあなたの琴の音は陰府に落ちてしまった。うじはあなたの下に敷かれ、みみずはあなたをおおっている。

12 黎明の子、明けの明星よ、あなたは天から落ちてしまった。もろもろの国を倒した者よ、あなたは切られて地に倒れてしまった。

13 あなたはさきに心のうちに言った、『わたしは天にのぼり、わたしの王座を高く神の星の上におき、北の果なる集会の山に座し、

14 雲のいただきにのぼり、いと高き者のようになろう』。

15 しかしあなたは陰府に落され、穴の奥底に入れられる。

16 あなたを見る者はつくづくあなたを見、あなたに目をとめて言う、『この人は地を震わせ、国々を動かし、

17 世界を荒野のようにし、その都市をこわし、捕えた者をその家に解き帰さなかった者であるのか』。

18 もろもろの国の王たちは皆尊いさまで、自分の墓に眠る。

19 しかしあなたは忌みきらわれる月足らぬ子のように墓のそとに捨てられ、つるぎで刺し殺された者でおおわれ、踏みつけられる死体のように穴の石に下る。

20 あなたは自分の国を滅ぼし、自分の民を殺したために、彼らと共に葬られることはない。どうか、悪を行う者の子孫はとこしえに名を呼ばれることのないように。

21 先祖のよこしまのゆえに、その子孫のためにほふり場を備えよ。これは彼らが起って地を取り、世界のおもてに町々を満たすことのないためである」。

 またサタンが堕天使であることを暗示していると言われているもう一つの有名な箇所は、エゼキエル書のツロの王に対する預言である。

エゼキエル28:11-19

11 また主の言葉がわたしに臨んだ、

12 「人の子よ、ツロの王のために悲しみの歌をのべて、これに言え。主なる神はこう言われる、あなたは知恵に満ち、美のきわみである完全な印である。

13 あなたは神の園エデンにあって、もろもろの宝石が、あなたをおおっていた。すなわち赤めのう、黄玉、青玉、貴かんらん石、緑柱石、縞めのう、サファイヤ、ざくろ石、エメラルド。そしてあなたの象眼も彫刻も金でなされた。これらはあなたの造られた日に、あなたのために備えられた。

14 わたしはあなたを油そそがれた守護のケルブと一緒に置いた。あなたは神の聖なる山にいて、火の石の間を歩いた。

15 あなたは造られた日から、あなたの中に悪が見いだされた日まではそのおこないが完全であった。

16 あなたの商売が盛んになると、あなたの中に暴虐が満ちて、あなたは罪を犯した。それゆえ、わたしはあなたを神の山から汚れたものとして投げ出し、守護のケルブはあなたを火の石の間から追い出した。

17 あなたは自分の美しさのために心高ぶり、その輝きのために自分の知恵を汚したゆえに、わたしはあなたを地に投げうち、王たちの前に置いて見せ物とした。

18 あなたは不正な交易をして犯した多くの罪によってあなたの聖所を汚したゆえ、わたしはあなたの中から火を出してあなたを焼き、あなたを見るすべての者の前であなたを地の上の灰とした。

19 もろもろの民のうちであなたを知る者は皆あなたについて驚く。あなたは恐るべき終りを遂げ、永遠にうせはてる」。 

 実際、この預言の内容を一人の王に関してのみ制限して解釈することは困難がある。

 このように旧約聖書における啓示は限定的・暗示的であるが、旧約聖書偽典の中にも関連性のある記述が存在する。その一つ、『エノク書』または『第一エノク書』は、旧約聖書の正典としてはユダヤ教やプロテスタント教会から認められていないが、編集された当時の紀元前1~2世紀頃から教父時代のキリスト教会において一般的に読まれ、その内容も知られていた。新約聖書の『ユダの手紙』の中でも引用されており、またリヨンのエイレナイオス(130-202年)も、その内容を引用している。

ユダ9

御使のかしらミカエルは、モーセの死体について悪魔と論じ争った時、相手をののしりさばくことはあえてせず、ただ、「主がおまえを戒めて下さるように」と言っただけであった。

ユダ14-15

14 アダムから七代目にあたるエノクも彼らについて預言して言った、「見よ、主は無数の聖徒たちを率いてこられた。

15 それは、すべての者にさばきを行うためであり、また、不信心な者が、信仰を無視して犯したすべての不信心なしわざと、さらに、不信心な罪人が主にそむいて語ったすべての暴言とを責めるためである」。

  その『第一エノク書』には、21名の堕天使のかしらとしてシェムハザの名が挙げられている。(69章 このリンクhttp://www.bibliotecapleyades.net/enoch/1enoch61-105.htm#Chapter_69_だと68章にある)

 シェムハザに関する詳細は次回の記事で。

 

(4)へ続く