an east window

夜明けとなって、明けの明星が心の中に上るまで

「アシュケナジ系ユダヤ人」の遺伝子調査に関する記事について

www.independent.co.uk

 この記事によると、367人の所謂「アシュケナジ系ユダヤ人」と600人以上のユダヤ人ではないヨーロッパ人と西アジア人の遺伝子調査をした結果、90%以上のアシュケナジ系ユダヤ人は、もともとギリシャ人やイラン人などが、今から2000年前頃、トルコ北東部に移住し、そこでペルシャから来たユダヤ人によってユダヤ教に改宗した人々である、ということである。

 遺伝学研究者であるElhaik氏によると、トルコ北東部には現在でもIskenaz、Eskenaz、Ashanazという名の村が現存しているが、その地方に住んでいたユダヤ改宗者が、西暦690年以降にあった東ローマ帝国によるユダヤ人迫害・追放や、600年代に始まるイスラム帝国の領地拡大によって、黒海を挟んで北側のハザール王国の移住したのではないか、という説である。

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 Martin Gilbert著『Jewish Histrory Atlas』によると、西暦300年代には、トルコの黒海沿岸部の町AmisusとTrapezus(上述のIskenaz、Eskenaz、Ashanazの村の近く)には重要なユダヤ人共同体があったという記述がある。

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 確かに自分たちが住んでいたトルコから追放され、アラビア半島からは当時の新興宗教であったイスラム教が破竹の勢いで北上し、領地を拡大していたのだから(しかし当時のイスラム教は、ユダヤ教徒に対して割と寛容だったようである)、黒海の北岸に移住するのは理に適っている。

 彼らの移住が、8世紀のハザール王国のユダヤ教改宗に非常に大きな影響を与えたことは間違いないだろう。

 そして11世紀のハザール王国の衰退と共に、中央ヨーロッパ(ポーランドやドイツなど)の地方へ移動していった。その時期から徐々に、ドイツ語とヘブライ語、アラム語、ロマンス諸語、そしてスラブ諸語が混合して形成された言語「イディッシュ」が生れた。

 「アシュケナジ系ユダヤ人のルーツ」と「イディッシュ」については、様々な意見があり、議論が交わされているテーマである。

 日本語でも多くのサイトで取り扱われているので、参考にしていただきたい。

ハザールとユダヤ 〜ハザール系ユダヤ人について〜

 

 反対意見としては、以下のサイトの記事があった。

反ユダヤ主義について

アシュケナジー・ジュー 2003/01/14

 これまで主に聖書的見地から、ユダヤ人陰謀説に対する反論を掲載させていただいた。これは、聖書預言のシステムへの混乱をもたらすところにおいて、問題がある。また、霊的問題でもある。イスラエルに対する物理的な祝福は神が約束されたのであり、それを否定することは、「のろいものをのろう」という神の言葉があるからである。

 白人系ユダヤ人が、聖書的セム系ユダヤ人の末裔ではなく、カザール人というユダヤ教改宗者であるという説は、日本だけでなく、欧米にも存在する説である。(というか、日本では、欧米にあるそうした説が翻案されている、という状況だ。)Braen Call MinistryのDave Huntが、そのnewsletterの中で、この問題について取り扱っているので、英語の分かる方は、ご一読を勧める。

http://www.thebereancall.org/newsletters/jan03/qa.htm
(二番目のQuestionまで下がってください)

 もしこの説を認めるのであれば、ユダヤ人が受けてきた数々の迫害と虐殺、シオンの地への帰還と建国事業は、神の約束の成就ということではなくなる、ということになる。また、ユダヤ人が果たした、学問、教育、文化、政治経済における世界的貢献も、その多くが彼らが勝手に行なったものとなり、選ばれた民ゆえの神の祝福、という聖書的意味も失われる。セファラディ系ユダヤ人も、迫害を受け、イスラエルに移住したという反論があるだろうが、私たちが一般的に見る、ユダヤ人を通しての神の言葉の確かさは、その説を受け入れることによって半減するだろう。これはちょうど、進化論を受け入れることによって、聖書記述の神学的、科学的、歴史的根拠が大幅に失われるのと同じである。

 ユダヤ教改宗者も、聖書的ユダヤ人の中に入る、という意見も聞いたことがある。しかしこれも間違いだ。聖書を見ると、「ユダヤ人」の定義はあくまでも、「アブラハム・イサク・ヤコブの物理的子孫」であり、異邦人改宗者や、キリスト者はそれに含まれない。旧約聖書においては、ルツがイスラエル共同体の中にはいった女性として知られるが、彼女はイスラエルの神を信じ、イスラエル人の中に住む者となっても、「モアブの女(ルツ4:10)」と呼ばれており、ユダヤ人とは呼ばれていない。また、新約聖書では、ユダヤ教を信じる異邦人は「改宗者」と呼ばれており、ユダヤ人と区別されている(使徒2:11、13:43)。そして異邦人キリスト者は、一度も、「ユダヤ人」「イスラエル人」と呼ばれたことはない。

 そして、ユダヤ人たち自身が、上の聖書的ユダヤ人の定義を採用していないという反論があろう。確かにイスラエルの帰還法においては、現在のユダヤ人とは「ユダヤ人の母親から生まれた人、またはユダヤ教に改宗を認められた人」というものである。ユダヤ教改宗者は上の説明のとおり聖書的ユダヤ人ではないし、また聖書では、母親からではなく、父親がユダヤ人のときにユダヤ人とされる。異邦人ラハブとルツを先祖に持つダビデは、むろんユダヤ人であるし、そしてダビデの子イエス・キリストご自身が、人としてはユダヤ人である(ローマ9:5)。母がユダヤ人、父がギリシヤ人であったテモテは、パウロの宣教旅行に同伴するまで割礼を受けていなかった(使徒16:3)。したがって、父親がユダヤ人であれば子はユダヤ人であり、母親からではないことが分かる。しかし「血」の濃さについての論議は、聖書自体の中で厳に戒められている(1テモテ1:4)。

 ところで、そもそも、「アシュケナジー系ユダヤ人」とは何か?イスラエルやユダヤ人について、ユダヤ人陰謀説絡みで紹介されることが多く、実に残念なことだが、もともとこうした論議から離れて、普通に、平素にイスラエル、ユダヤのことを知れば良いと私は思う。日本の中で定評があるのは、「ミルトス」である。そこに、アシュケナジー・ユダヤ人とセファルディー・ユダヤ人についての説明が記載されているので、引用したい。

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アシュケナジーとスファラディー

 イスラエルに行きますと、よくアシュケナジーかスファラディーとかの区別があることを聞きます。これは、ユダヤ人が祖国から離散して世界中に住むようになって以来、その祖先の出身地別に分類したときの区別です。

 アシュケナジーとは「ドイツ」という意味の古いヘブライ語で、ドイツや東欧に住むユダヤ人の子孫を指します。彼らの祖先は、紀元一世紀にまでも遡ります。当時ローマ帝国の拡大と共にヨーロッパ辺境のライン川沿いまで移住していったことが知られています。ドイツやフランスにも居住区をつくりました。経済的には富み栄えたようです。

 アシュケナジーが歴史に登場してくるのは、中世以後です。キリスト教徒の迫害を受け、居住地を東欧・ロシアへと追放されたり各地に移動を余儀なくされましたが、逆にユダヤ人の独自性が保たれて、世界のユダヤ人の中でも優れた文化を発展させ、やがて近代に指導的地位を得ていきました。アメリカに渡ったユダヤ人の多くがアシュケナジーでした。また、イスラエル建国につながるシオニズム運動も、アシュケナジーが大きく担い推進させました。

 アシュケナジー・ユダヤ人は、イーディッシュ語という独特の言語を話しました。イーディッシュ語は中世ドイツ語とヘブライ語の混じり合ってできた言葉です。

 スファラディーとは「スペイン」を指す言葉です。イスラム文化が栄えた時代に、その支配地のユダヤ人も豊かな文化や経済の花を咲かせました。もちろん、イスラム教文明の中で世俗的にも大いに活躍しました。当時、地球上の最も進んだ文明がイスラム圏にあったのは、事実ですね。やがて、キリスト教徒にスペインが占領され、一四九二年、キリスト教への改宗を拒否したユダヤ人は追放されました。地中海沿岸に散らされ、そして衰退していくイスラム文化圏の中で一緒に歴史の陰に隠れてしまったのが、スペインのユダヤ人の子孫、スファラディーでした。彼らはイスラム教徒とは、比較的平和共存して暮らしていました。スファラディー・ユダヤ人は、スペイン語とヘブライ語の混成語であるラディーノ語をつかっていました。今はすたれています。

http://www.myrtos.co.jp/topics/juda/juda01.html#Q4から引用)
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 ちなみに、「アシュケナジー」という言葉は、日本語訳聖書では、「アシュケナズ」という名で登場する(創世10:3、1歴代1:6、エレミヤ51:27)。

 そして、アシュケナジーユダヤ人が、カザール人のユダヤ教改宗者ではないという根拠は、いくつもある。その一つは、上にリンク先を引用したしたデイブ・ハント(Dave Hunt)氏の回答にもあるが、遺伝学的にアシュケナジー・ユダヤ人は、イスラエル12部族の直系であることが証明されている。かつてユダヤ人の学者がカザール説を提唱したが、これはDNA鑑定が行なわれる以前のことであり、科学的根拠に限界があった。
参照ページ:http://www.forward.com/issues/2001/01.08.17/genetic2.html
(後記: 英語のウィキベディアにも説明があります。)

 そして歴史的根拠がある。上のミルトスのホームページからの引用でも触れられているが、ローマ帝国拡大時に、すでに紀元前1世紀に、ユダヤ人がドイツや東欧に住んでいたという歴史的事実がある。紀元8世紀以降のカザール帝国のはるか前に、アシュケナジー・ユダヤ人は存在していたのである。
参照ページ:http://www.myrtos.co.jp/topics/juda/juda01.html#Q5

 そして、文化的根拠からの反証もある。アシュケナジー・ユダヤ人の共同体の中には、カザール人から受け継がれた習慣がほとんどないことがある。離散の地における文化や習慣を、ディアスポラのユダヤ人は身に付けているが、例えば、中国系ユダヤ人であれば中国の習慣を、ブラジル系ユダヤ人であればブラジルやポルトガルの習慣を持っており、世界中から移住したユダヤ人の集まりであるイスラエル国は、さまざまな国際文化や習慣も垣間見ることができる。しかし、カザール系の名残がアシュケナジー・ユダヤ人の中に、ほとんど見ることができない。
参照ページ:http://www.faqs.org/faqs/judaism/FAQ/07-Jews-As-Nation/section-5.html

 参照ページにも書かれていることだが、歴史的事実はこうである。「西、中央ヨーロッパにてすでに、アシュケナジー・ユダヤ人共同体は存在しており、カザール帝国のユダヤ教改宗があったことは事実だが、その共同体に影響を与えることは少なかった。カザール帝国自体が、王や役人におけるユダヤ教改宗はあったが、一般民は主にイスラム教徒やキリスト教徒であった。東欧に移住したカザール人は、すでに移住していたアシュケナジー・ユダヤ人と結婚したことはあろうが、後者が前者を吸収し、その逆ではなかった。したがって、今日のアシュケナジー・ユダヤ人と呼ばれている人々は、聖書のイスラエル人子孫であると言うことができる。

 本当なら翻訳したいところだが、以下のサイトに、クリスチャンによるカザール説の説明が分かりやすく書かれている。これをもって、まとめとしたいと思う。

"Are the Jews really Israelites? Editor's Commentary"
http://www.discerningtoday.org/members/Digest/2001digest/mar/are_the_jews_really_israelites.htm

 最後に蛇足だが、カザール人とかアシュケナジーとかの論議は、聖書預言的には、ユダヤ人であるかどうかの議論と切り離して、「ゴメル」「ロシ」などの欧州系民族の動きとして見ていくと面白い。聖書教師チャック・ミスラーのサイト"Koinonia House"には、"Roots of War"という3回シリーズで、聖書に出てくる各民族の動きを辿っているエッセイを読むことができる。カザール人はパート3で登場する。

 この意見に関しては、様々な検証が必要だと思う。例えば、

ユダヤ教改宗者も、聖書的ユダヤ人の中に入る、という意見も聞いたことがある。しかしこれも間違いだ。聖書を見ると、「ユダヤ人」の定義はあくまでも、「アブラハム・イサク・ヤコブの物理的子孫」であり、異邦人改宗者や、キリスト者はそれに含まれない。

という意見についてだが、これはこの筆者自身が指摘するとおり、イスラエルの帰還法に反するものである。イスラエルの法律では、「ユダヤ人の母から産まれた者、もしくはユダヤ教に改宗し他の宗教を一切信じない者」を「ユダヤ人」と定義しており、改宗者でも「ユダヤ人」として認めているからである。一方でイスラエルの建国を「聖書預言の成就」としていながら、その国の正式な国民として認められている人々を「聖書的なユダヤ人ではない」と言えるのだろうか。実際、イスラエルにはエチオピア系や中国系の「ユダヤ人」さえいるのである。トルコ北東部やハザール王国の改宗者を「ユダヤ人」だと認めているのに、エチオピア系や中国系の改宗者は「ユダヤ人」と認めないのだろうか。

 この筆者の意見を逆説的に言えば、今回の研究結果のように、遺伝子学的に「アブラハム・イサク・ヤコブの物理的子孫」ではないと判明した「アシュケナジ系ユダヤ人」は、たとえ彼らがイスラエルの神を信じていたとしても、「聖書的ユダヤ人ではなく、改宗者の子孫」ということになる。

 またルツが厳密に「モアブの女」としてしか見なされないのなら、ボアズはモーセの律法(申命記23:3)を背いたことにならないだろうか。

 また「選ばれた民ゆえの神の祝福」は、主なる神とイスラエルが交わした契約によれば、律法の教えを守ることに基づいており、「主の戒めに聞き従って、これを守り行うならば」という条件が付けられている。決して選民という立場が自動的な祝福の保証を与えているわけではなかった。

 しかしこの非常に複雑なテーマにおいて、私の心を打つ点は、著書『イスラエルについて』においてアシュケナジ系ユダヤ人のルーツがハザール王国であることを主張したアルフレッド・リリアンソールも、同様の主張をした『ハザリア』のアブラハム・ナフム・ポリアック教授も、『第13支族』の著者アーサー・ケストラー、『ユダヤ人の起源』の著者シュロモー・ザンドも皆、東欧のアシュケナジ系ユダヤ人の系統に属していた、という点である。これはとても重要なポイントではないだろうか。なぜなら、その主張がユダヤ民族を憎んでいた人々によるものでも、自分たちの血統的優位性を主張するセム系のユダヤ人研究者によってなされたわけでもないからである。

 つまり上述の研究者たちは、自分たちの「ユダヤ人」としてのアイデンティティーのルーツを知りたいと願い、研究し、ハザール王国の歴史との関連を主張するに至った。彼らは、自分たちと同族の「アシュケナジ系ユダヤ人」が、「おなじユダヤ人」であるはずのセム系とは、明らかにルーツが異なることを認識していたはずである。中にはキリスト教の中でもみられるように、あくまで習慣として「ユダヤ教徒である」と公言していたとしても、本心ではイスラエルの神を信じていない不可知論者のような人も少なくないであろう。「アブラハム・イサク・ヤコブの物理的子孫」ではなく、またイスラエルの神を本当には信じていない、それにもかかわらず自分は「ユダヤ人」であり、周りの人々にとっては自分が意識している以上に「ユダヤ人」として 誤解と偏見を持って見られ、酷いときには理不尽な扱いを受け、最悪な場合、命の危険さえ脅かされる。その理不尽に対する強い戸惑いの中に、私は「アシュケナジ系ユダヤ人」の自分たちのルーツを探し求める動機を見るのである。まるで成人になってから自分の生みの親を探す養子のような喪失感。私は、彼らのそのような内的要求が、真のメシアである主イエスによって、天の父である神を知ることで完全に満たされると信じる。

ローマ1;14-16

14 わたしには、ギリシヤ人にも未開の人にも、賢い者にも無知な者にも、果すべき責任がある。

15 そこで、わたしとしての切なる願いは、ローマにいるあなたがたにも、福音を宣べ伝えることなのである。

16 わたしは福音を恥としない。それは、ユダヤ人をはじめ、ギリシヤ人にも、すべて信じる者に、救を得させる神の力である。

 

参考記事:

 記事の中で紹介されている、イスラエルの遺伝子学者グループ(Ranajit Das、Paul Wexler、Mehdi Pirooznia、Eran Elhaik)による研究論文のリンクは以下。

Localizing Ashkenazic Jews to primeval villages in the ancient Iranian lands of Ashkenaz


DNA GPS: What is the origin of Yiddish?

 

過去に行われたアシュケナジ系関連の遺伝子調査に関する記事:

www.natureasia.com

www.nytimes.com

Geneticists Report Finding Central Asian Link to Levites

By NICHOLAS WADE
Published: September 27, 2003

Ateam of geneticists studying the ancestry of Jewish communities has found an unusual genetic signature that occurs in more than half the Levites of Ashkenazi descent. The signature is thought to have originated in Central Asia, not the Near East, which is the ancestral home of Jews. The finding raises the question of how the signature became so widespread among the Levites, an ancient caste of hereditary Jewish priests.

The genetic signature occurs on the male or Y chromosome and comes from a few men, or perhaps a single ancestor, who lived about 1,000 years ago, just as the Ashkenazim were beginning to be established in Europe. Ashkenazim, from whom most American Jews descend, are one of the two main branches of Jews, the other being the Sephardim, whose ancestors were expelled from Spain.

The new report, published in the current issue of the American Journal of Human Genetics, was prepared by population geneticists in Israel, the United States and England, who have been studying the genetics of Jewish communities for the last six years.

They say that 52 percent of Levites of Ashkenazi origin have a particular genetic signature that originated in Central Asia, although it is also found less frequently in the Middle East. The ancestor who introduced it into the Ashkenazi Levites could perhaps have been from the Khazars, a Turkic tribe whose king converted to Judaism in the eighth or ninth century, the researchers suggest.

Their reasoning is that the signature, a set of DNA variations known as R1a1, is common in the region north of Georgia that was once occupied by the Khazar kingdom. The signature did reach the Near East, probably before the founding of the Jewish community, but it is still rare there. The scholars say they cannot exclude the possibility that a Jewish founder brought the signature on his Y chromosome to the Ashkenazi population, but they consider that a less likely explanation.

The present descendants of the Khazars have not been identified. Dr. Michael Hammer of the University of Arizona, one of the authors of the report, said he was looking among the Chuvash, a Turkic-speaking people of the Volga Valley, to see if they might have contributed the R1a1 signature.

Dr. Shaye Cohen, professor of Hebrew literature and philosophy at Harvard University, said he could see no problem with outsiders being converted to the Jewish community. He said he considered it less probable, however, that outsiders would become Levites, let alone founding members of the Levite community in Europe. The connection with the Khazars is "all hypothesis," he said.

Even if the Khazar hypothesis is correct, it would have no practical effect on who is a Levite today. "Genetics is not a reality under rabbinic law," Dr. Cohen said. "Second, the function of Levites is so minimal it doesn't mean anything."

Six years ago Dr. Hammer and Dr. Karl Skorecki, of the Technion and Rambam Medical Center in Haifa, looked at the Y chromosomes of both Levites and Cohanim. Both are hereditary priesthoods passed from father to son. They were important in ancient Israel, but sometime between 200 B.C. and A.D. 500 their functions were taken over by rabbis, and Jewish status came to be defined by the biologically more reliable standard of maternal descent.

If the patrilineal descent of the two priestly castes had indeed been followed as tradition describes, then all Cohanim should be descended from Aaron, the brother of Moses, and all Levites from Levi, the third son of the patriarch Jacob. Dr. Hammer and Dr. Skorecki found that more than half the Cohanim, in both the Ashkenazi and Sephardi communities, did indeed carry the same genetic signature on their Y chromosome. Their ancestor lived some 3,000 years ago, based on genetic calculations, and may indeed have been Aaron, Dr. Skorecki said.

But the picture among the Levites was less clear, suggesting that they had a mixed ancestry. Dr. Hammer and Dr. Skorecki returned to the puzzle for their new report, based on data gathered from nearly 1,000 men of Ashkenazi and Sephardi origin and neighboring non-Jewish populations.

They found that the dominant signature among the Levites was the R1a1 signature, which is different from the Cohanim signature. The paternal ancestry of the Ashkenazi and Sephardic Levites is different, unlike the Cohanim from the two branches, who resemble each other and presumably originated before the two branches split. And the ancestor of the R1a1 signature apparently lived 2,000 years more recently than the founder of the Cohanim signature.

The Levites' pedigree does not seem to accord with tradition as well as the Cohanim one does but is venerable nonetheless. "How many people can trace their ancestry back to the 17th century, let alone a thousand years?" Dr. Hammer said.