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夜明けとなって、明けの明星が心の中に上るまで

ダマスコについての預言(2)アハズ王の教訓

列王下16:1-9

1 レマリヤの子ペカの第十七年にユダの王ヨタムの子アハズが王となった。

2 アハズは王となった時二十歳で、エルサレムで十六年の間、世を治めたが、その神、主の目にかなう事を先祖ダビデのようには行わなかった。

3 彼はイスラエルの王たちの道に歩み、また主がイスラエルの人々の前から追い払われた異邦人の憎むべきおこないにしたがって、自分の子を火に焼いてささげ物とした。

4 かつ彼は高き所、また丘の上、すべての青木の下で犠牲をささげ、香をたいた。

5 そのころ、スリヤの王レヂンおよびレマリヤの子であるイスラエルの王ペカがエルサレムに攻め上って、アハズを囲んだが、勝つことができなかった。

6 その時エドムの王はエラテを回復してエドムの所領とし、ユダの人々をエラテから追い出した。そしてエドムびとがエラテにきて、そこに住み、今日に至っている。

7 そこでアハズは使者をアッスリヤの王テグラテピレセルにつかわして言わせた、「わたしはあなたのしもべ、あなたの子です。スリヤの王とイスラエルの王がわたしを攻め囲んでいます。どうぞ上ってきて、彼らの手からわたしを救い出してください」。

8 そしてアハズは主の宮と王の家の倉にある金と銀をとり、これを贈り物としてアッスリヤの王におくったので、

9 アッスリヤの王は彼の願いを聞きいれた。すなわちアッスリヤの王はダマスコに攻め上って、これを取り、その民をキルに捕え移し、またレヂンを殺した。

 ユダ王国の王アハズは、シリアの王レヂンとイスラエル北王国の王ペカが同盟を結び、アッシリア帝国に反逆し、エルサレムを攻め上ってきたため、アッシリアの王ティグラト・ピレセル3世に救いを求めた。本来だったら、地上の王ではなく真っ先に主なる神に救いを求めるべきだったが、アハズはよりによって主の宮に献納した金や銀をとり、アッシリアの王に寄贈し、支援を求めたのである。そこでアッシリアの王はダマスコに攻め上り、住民を捕囚としてキルへ連れてゆき、シリアの王レヂンを殺した。

 アハズにとっては、このダマスコの陥落は「預言者イザヤの口を通して語られた主の言葉の成就」であった。

イザヤ7:1-9 

1 ユダの王、ウジヤの子ヨタム、その子アハズの時、スリヤの王レヂンとレマリヤの子であるイスラエルの王ペカとが上ってきて、エルサレムを攻めたが勝つことができなかった。

2 時に「スリヤがエフライムと同盟している」とダビデの家に告げる者があったので、王の心と民の心とは風に動かされる林の木のように動揺した。

3 その時、主はイザヤに言われた、「今、あなたとあなたの子シャル・ヤシュブと共に出て行って、布さらしの野へ行く大路に沿う上の池の水道の端でアハズに会い、

4 彼に言いなさい、『気をつけて、静かにし、恐れてはならない。レヂンとスリヤおよびレマリヤの子が激しく怒っても、これら二つの燃え残りのくすぶっている切り株のゆえに心を弱くしてはならない。

5 スリヤはエフライムおよびレマリヤの子と共にあなたにむかって悪い事を企てて言う、

6 「われわれはユダに攻め上って、これを脅し、われわれのためにこれを破り取り、タビエルの子をそこの王にしよう」と。

7 主なる神はこう言われる、この事は決して行われない、また起ることはない。

8 スリヤのかしらはダマスコ、ダマスコのかしらはレヂンである。(六十五年のうちにエフライムは敗れて、国をなさないようになる。)

9 エフライムのかしらはサマリヤ、サマリヤのかしらはレマリヤの子である。もしあなたがたが信じないならば、立つことはできない』」。 

イザヤ17:1-3

1 ダマスコについての託宣。見よ、ダマスコは町の姿を失って、荒塚となる。 

2 その町々はとこしえに捨てられ、家畜の群れの住む所となって、伏しやすむが、これを脅かす者はない。

3 エフライムのとりではすたり、ダマスコの主権はやみ、スリヤの残れる者は、イスラエルの子らの栄光のように消えうせると万軍の主は言われる。 

 しかしアハズ王は、このダマスコに対する裁きの預言の成就を喜んではいられなかった。その成就は決して神がアハズ王を「義人」として認めていたからでも、彼に何か功徳があったからでもなかった。

 むしろ歴代誌の記述を読むと、彼の行いは異邦人であるシリアと同盟を組んだイスラエルの王と同じような道を歩み、その行動は自分の子を火に焼いて捧げ物として偶像に捧げるほど実におぞましいものであった。

歴代誌下28:1-4

1 アハズは王となった時二十歳で、十六年の間エルサレムで世を治めたが、その父ダビデとは違って、主の良しと見られることを行わず、
2 イスラエルの王たちの道に歩み、またもろもろのバアルのために鋳た像を造り、
3 ベンヒンノムの谷で香をたき、その子らを火に焼いて供え物とするなど、主がイスラエルの人々の前から追い払われた異邦人の憎むべき行いにならい、
4 また高き所の上、丘の上、すべての青木の下で犠牲をささげ、香をたいた。

 主なる神は、そのアハズ王の背教の罪のゆえ、彼をシリアやイスラエル王国、さらに近隣のエドムやペリシテの手によって、アハズを大いに苦しめた。

歴代誌下28:5-6;16-19

5 それゆえ、その神、主は彼をスリヤの王の手に渡されたので、スリヤびとは彼を撃ち破り、その民を多く捕虜として、ダマスコに引いて行った。彼はまたイスラエルの王の手にも渡されたので、イスラエルの王も彼を撃ち破って大いに殺した。
6 すなわちレマリヤの子ペカはユダで一日のうちに十二万人を殺した。皆勇士であった。これは彼らがその先祖の神、主を捨てたためである。

16 その時アハズ王は人をアッスリヤの王につかわして助けを求めさせた。
17 エドムびとが再び侵入してユダを撃ち、民を捕え去ったからである。
18 ペリシテびともまた平野の町々およびユダのネゲブの町々を侵して、ベテシメシ、アヤロン、ゲデロテおよびソコとその村里、テムナとその村里、ギムゾとその村里を取って、そこに住んだ。
19 これはイスラエルの王アハズのゆえに、主がユダを低くされたのであって、彼がユダのうちにみだらなことを行い、主に向かって大いに罪を犯したからである。

 『歴代誌』には『列王記』と比べるとより詳細な経緯が書かれている。アッシリアの王ティグラト・ピレセル3世に助けを求めた時も、最初は相手にもされず、主の宮や王の家の金銀を貢納した時も、アッシリアの王は受け取るだけでアハズを助けようとはしなかったようである。その切羽詰まった状況でも、アハズは主を求めず、ますます主に罪を犯した。なんと敵国シリアの神々に犠牲をささげるという、とんでもない行動に走ったのである。

歴代誌下28:20-25
20 アッスリヤの王テルガデ・ピルネセルは彼の所に来たが、彼に力を添えないで、かえって彼を悩ました。
21 アハズは主の宮と王の家、およびつかさたちの家の物を取ってアッスリヤの王に与えたが、それはアハズの助けにはならなかった。
22 このアハズ王はその悩みの時にあたって、ますます主に罪を犯した。

23 すなわち、彼は自分を撃ったダマスコの神々に、犠牲をささげて言った、「スリヤの王たちの神々はその王たちを助けるから、わたしもそれに犠牲をささげよう。そうすれば彼らはわたしを助けるであろう」と。しかし、彼らはかえってアハズとイスラエル全国とを倒す者となった。
24 アハズは神の宮の器物を集めて、神の宮の器物を切り破り、主の宮の戸を閉じ、エルサレムのすべてのすみずみに祭壇を造り、
25 ユダのすべての町々に高き所を造って、他の神々に香をたきなどして、先祖の神、主の怒りを引き起した。

 結局『列王記』にあるように、アッシリア王はアハズの願いを聞き入れ、ダマスコを攻め落とした。そしてアッシリアの王に会うために、陥落したダマスコへ出向き、シリアの神々のための祭壇を主なる神の宮の中に取り入れ、神がモーセを通して与えた律法に従って厳格に規定されていた祭儀を、自分勝手に変更した。

列王下16:10-18

10 アハズ王はアッスリヤの王テグラテピレセルに会おうとダマスコへ行ったが、ダマスコにある祭壇を見たので、アハズ王はその祭壇の作りにしたがって、その詳しい図面と、ひな型とを作って、祭司ウリヤに送った。

11 そこで祭司ウリヤはアハズ王がダマスコから送ったものにしたがって祭壇を建てた。すなわち祭司ウリヤはアハズ王がダマスコから帰るまでにそのとおりに作った。

12 王はダマスコから帰ってきて、その祭壇を見、祭壇に近づいてその上に登り、

13 燔祭と素祭を焼き、灌祭を注ぎ、酬恩祭の血を祭壇にそそぎかけた。

14 彼はまた主の前にあった青銅の祭壇を宮の前から移した。すなわちそれを新しい祭壇と主の宮の間から移して、新しい祭壇の北の方にすえた。

15 そしてアハズ王は祭司ウリヤに命じて言った、「朝の燔祭と夕の素祭および王の燔祭とその素祭、ならびに国中の民の燔祭とその素祭および灌祭は、この大きな祭壇の上で焼きなさい。また燔祭の血と犠牲の血はすべてこれにそそぎかけなさい。あの青銅の祭壇をわたしは伺いを立てるのに用いよう」。

16 祭司ウリヤはアハズ王がすべて命じたとおりにおこなった。

17 またアハズ王は台の鏡板を切り取って、洗盤をその上から移し、また海をその下にある青銅の牛の上からおろして、石の座の上にすえ、

18 また宮のうちに造られていた安息日用のおおいのある道、および王の用いる外の入口をアッスリヤの王のために主の宮から除いた。

 確かにダマスコは主なる神の預言通り、主権を失い、人々は捕囚され、町は荒廃した。しかしユダのアハズ王は、それを喜んでいてはいけなかったのである。彼はエルサレムの神の宮に偶像崇拝を取り入れ、ユダの人々を大いに躓かせた。そしてダマスコが陥落した紀元前732年から146年後、今度はユダ王国がバビロニア帝国のネブカデネザル王によって徹底的に破壊され、人々は捕囚としてバビロニアに連れていかれた。ダマスコとサマリアがアッシリア帝国の手によって破壊され、人々が連れていかれたように。これもすべて、主なる神が預言者の口を通して語っていた預言の成就であった。

 確かに預言者イザヤのダマスコに関する預言には、「その町々はとこしえに捨てられ」とあるので、この人類史上最も古い町の一つであるダマスコは、過去に何度も経験してきた破壊や侵略よりも、また現在の悲劇的状況よりさらに恐ろしい壊滅的な裁きが待ち受けているのかもしれない。しかし、ユダ王国のアハズ王とその後エルサレムに下った裁きの教訓は、主なる神の言葉は必ずすべて成就するという真実を通して、私たちに悔い改めを強く勧告しているのではないだろうか。終わりの時には、シリアだけでなく、全世界が義なる神の公平な裁きに服することになるのだから。

マタイ11:20-24

20 それからイエスは、数々の力あるわざがなされたのに、悔い改めることをしなかった町々を、責めはじめられた。

21 「わざわいだ、コラジンよ。わざわいだ、ベツサイダよ。おまえたちのうちでなされた力あるわざが、もしツロとシドンでなされたなら、彼らはとうの昔に、荒布をまとい灰をかぶって、悔い改めたであろう。

22 しかし、おまえたちに言っておく。さばきの日には、ツロとシドンの方がおまえたちよりも、耐えやすいであろう。

23 ああ、カペナウムよ、おまえは天にまで上げられようとでもいうのか。黄泉にまで落されるであろう。おまえの中でなされた力あるわざが、もしソドムでなされたなら、その町は今日までも残っていたであろう。

24 しかし、あなたがたに言う。さばきの日には、ソドムの地の方がおまえよりは耐えやすいであろう」。 

ルカ13:1-5

1 ちょうどその時、ある人々がきて、ピラトがガリラヤ人たちの血を流し、それを彼らの犠牲の血に混ぜたことを、イエスに知らせた。 

2 そこでイエスは答えて言われた、「それらのガリラヤ人が、そのような災難にあったからといって、他のすべてのガリラヤ人以上に罪が深かったと思うのか。

3 あなたがたに言うが、そうではない。あなたがたも悔い改めなければ、みな同じように滅びるであろう。 

4 また、シロアムの塔が倒れたためにおし殺されたあの十八人は、エルサレムの他の全住民以上に罪の負債があったと思うか。

5 あなたがたに言うが、そうではない。あなたがたも悔い改めなければ、みな同じように滅びるであろう」。 

 

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