an east window

夜明けとなって、明けの明星が心の中に上るまで

ゆすり

[ゆすり]
漢字で「強請」と書く。脅して金品を奪い取ることをいう。貧乏侍が、乗っている駕籠をわざと「揺すり」、困った駕籠屋に強引に金品や駕籠代を只にすることを請求したことから、理不尽な行為を非難する意味で使われるようになった。他には、「揺(ゆ)する」と同根で、動揺の意で、遊女が相手の気持ちを動揺させ、相手の心を試したところから、現在の意味が生じたとする説もある。

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 作為的に不安定な状況を生み出し、目的のものを手に入れる。他人の不安や恐怖を利用し、自己の目的を果たす。

士師記16:4-20

4 この後、サムソンはソレクの谷にいるデリラという女を愛した。

5 ペリシテびとの君たちはその女のところにきて言った、「あなたはサムソンを説きすすめて、彼の大力はどこにあるのか、またわれわれはどうすれば彼に勝って、彼を縛り苦しめることができるかを見つけなさい。そうすればわれわれはおのおの銀千百枚ずつをあなたにさしあげましょう」。

6 そこでデリラはサムソンに言った、「あなたの大力はどこにあるのか、またどうすればあなたを縛って苦しめることができるか、どうぞわたしに聞かせてください」。

7 サムソンは女に言った、「人々がもし、かわいたことのない七本の新しい弓弦をもってわたしを縛るなら、わたしは弱くなってほかの人のようになるでしょう」。

8 そこでペリシテびとの君たちが、かわいたことのない七本の新しい弓弦を女に持ってきたので、女はそれをもってサムソンを縛った。

9 女はかねて奥のへやに人を忍ばせておいて、サムソンに言った、「サムソンよ、ペリシテびとがあなたに迫っています」。しかしサムソンはその弓弦を、あたかも亜麻糸が火にあって断たれるように断ち切った。こうして彼の力の秘密は知れなかった。

10 デリラはサムソンに言った、「あなたはわたしを欺いて、うそを言いました。どうしたらあなたを縛ることができるか、どうぞ今わたしに聞かせてください」。

11 サムソンは女に言った、「もし人々がまだ用いたことのない新しい綱をもって、わたしを縛るなら、弱くなってほかの人のようになるでしょう」。 

12 そこでデリラは新しい綱をとり、それをもって彼を縛り、そして彼に言った、「サムソンよ、ペリシテびとがあなたに迫っています」。時に人々は奥のへやに忍んでいたが、サムソンはその綱を糸のように腕から断ち落した。

13 そこでデリラはサムソンに言った、「あなたは今まで、わたしを欺いて、うそを言いましたが、どうしたらあなたを縛ることができるか、わたしに聞かせてください」。彼は女に言った、「あなたがもし、わたしの髪の毛七ふさを機の縦糸と一緒に織って、くぎでそれを留めておくならば、わたしは弱くなってほかの人のようになるでしょう」。そこで彼が眠ったとき、デリラはサムソンの髪の毛、七ふさをとって、それを機の縦糸に織り込み、

14 くぎでそれを留めておいて、彼に言った、「サムソンよ、ペリシテびとがあなたに迫っています」。しかしサムソンは目をさまして、くぎと機と縦糸とを引き抜いた。

15 そこで女はサムソンに言った、「あなたの心がわたしを離れているのに、どうして『おまえを愛する』と言うことができますか。あなたはすでに三度もわたしを欺き、あなたの大力がどこにあるかをわたしに告げませんでした」。

16 女は毎日その言葉をもって彼に迫り促したので、彼の魂は死ぬばかりに苦しんだ。

17 彼はついにその心をことごとく打ち明けて女に言った、「わたしの頭にはかみそりを当てたことがありません。わたしは生れた時から神にささげられたナジルびとだからです。もし髪をそり落されたなら、わたしの力は去って弱くなり、ほかの人のようになるでしょう」。

18 デリラはサムソンがその心をことごとく打ち明けたのを見、人をつかわしてペリシテびとの君たちを呼んで言った、「サムソンはその心をことごとくわたしに打ち明けましたから、今度こそ上っておいでなさい」。そこでペリシテびとの君たちは、銀を携えて女のもとに上ってきた。

19 女は自分のひざの上にサムソンを眠らせ、人を呼んで髪の毛、七ふさをそり落させ、彼を苦しめ始めたが、その力は彼を去っていた。

20 そして女が「サムソンよ、ペリシテびとがあなたに迫っています」と言ったので、彼は目をさまして言った、「わたしはいつものように出て行って、からだをゆすろう」。彼は主が自分を去られたことを知らなかった。

  デリラは、サムソンに「愛のしるし」を求め、彼の魂を悩ませ、心を開いたら、今度は自分の膝の上に眠らせた。自ら奥の部屋にペリシテびとを待機させながら、「サムソンよ、ペリシテびとがあなたに迫っています」と警告の声で彼を眠りから覚ますと同時に、ペリシテびとに攻撃の合図を送った。すべては、ペリシテびとから銀を得るためであった。

 ペリシテびとに捕らわれ、両目を抉り取られ、獄屋で臼をひくことになったサムソンは、ペリシテびとに対して報復するために最後に「ああ、主なる神よ、どうぞ、わたしを覚えてください。ああ、神よ、どうぞもう一度、わたしを強くして、わたしの二つの目の一つのためにでもペリシテびとにあだを報いさせてください」と祈った。

 しかし主なる神がサムソンのことを忘れていたのではなかった。サムソンが主なる神に対する責任を忘れていたのである。彼は遊女に愛を示すために、生まれる前から「ナジルびと」として選ばれたわけではなかった。ただ主なる神に忠実であるために生を与えられていたのである。

 私たちを取り巻く環境が不安定化し、脅威が迫っていると声高に叫ばれるとき、自分がまず誰に対して責任をもつ存在であるか、冷静になって考えてみる必要がある。自分の利得のことしか考えていない「遊女」が、甘言と脅しであなたの良心をゆすり、最も大事なことからあなたのことを引き離していないだろうか。