an east window

夜明けとなって、明けの明星が心の中に上るまで

『ローマびとへの手紙』(11)創造者の代りに「獣」を拝むことになる

ローマ1:22-25

22 彼らは自ら知者と称しながら、愚かになり、

23 不朽の神の栄光を変えて、朽ちる人間や鳥や獣や這うものの像に似せたのである。

24 ゆえに、神は、彼らが心の欲情にかられ、自分のからだを互にはずかしめて、汚すままに任せられた。

25 彼らは神の真理を変えて虚偽とし、創造者の代りに被造物を拝み、これに仕えたのである。創造者こそ永遠にほむべきものである、アァメン。 

 神の知恵を見下し、自分の知恵を神の言葉よりも高く置き、不朽の神の栄光を求めず、朽ち行く人間の虚栄を貪欲に求め、神の真理を偽りと裁く。「人間がすべて」「人間中心」だから、願望や欲望、野心は永遠の神へとは開かれず、自己の鎖に縛られ、奴隷となるのは当然の帰結である。

 霊である神が自分の心の中に住むのを拒否することによって、物質的・肉体的・地上的次元の中での自己実現に閉じ込められてしまう。それは「滅びうせる獣にひとしい」と詩篇に書いてある。

詩篇49

1 聖歌隊の指揮者によってうたわせたコラの子の歌 もろもろの民よ、これを聞け、すべて世に住む者よ、耳を傾けよ。

2 低きも高きも、富めるも貧しきも、共に耳を傾けよ。

3 わが口は知恵を語り、わが心は知識を思う。

4 わたしは耳をたとえに傾け、琴を鳴らして、わたしのなぞを解き明かそう。

5 わたしをしえたげる者の不義がわたしを取り囲む悩みの日に、どうして恐れなければならないのか。

6 彼らはおのが富をたのみ、そのたからの多いのを誇る人々である。

7 まことに人はだれも自分をあがなうことはできない。そのいのちの価を神に払うことはできない。
8 とこしえに生きながらえて、墓を見ないためにそのいのちをあがなうには、あまりに価高くて、それを満足に払うことができないからである。

9 (8節に合節) 

10 まことに賢い人も死に、愚かな者も、獣のような者も、ひとしく滅んで、その富を他人に残すことは人の見るところである。

11 たとい彼らはその地を自分の名をもって呼んでも、墓こそ彼らのとこしえのすまい、世々彼らのすみかである。

12 人は栄華のうちに長くとどまることはできない、滅びうせる獣にひとしい。

13 これぞ自分をたのむ愚かな者どもの成りゆき、自分の分け前を喜ぶ者どもの果である。〔セラ

14 彼らは陰府に定められた羊のように死が彼らを牧するであろう。彼らはまっすぐに墓に下り、そのかたちは消えうせ、陰府が彼らのすまいとなるであろう。

15 しかし神はわたしを受けられるゆえ、わたしの魂を陰府の力からあがなわれる。〔セラ

16 人が富を得るときも、その家の栄えが増し加わるときも、恐れてはならない。

17 彼が死ぬときは何ひとつ携え行くことができず、その栄えも彼に従って下って行くことはないからである。

18 たとい彼が生きながらえる間、自分を幸福と思っても、またみずから幸な時に、人々から称賛されても、

19 彼はついにおのれの先祖の仲間に連なる。彼らは絶えて光を見ることがない。

20 人は栄華のうちに長くとどまることはできない。滅びうせる獣にひとしい。

  神の真理を変えて虚偽とし、創造者の代りに被造物である自分自身を「高く祀り上げ」、自分に仕える、つまり「自分自身のために自分の人生を捧げる」ために、結局「滅び失せる獣」のようになってしまう。

 ダニエル記にあるバビロニア王ネブカデネザルのエピソードは、この真理を表している。

ダニエル4:18-37

18 われネブカデネザル王はこの夢を見た。ベルテシャザルよ、あなたはその解き明かしをわたしに告げなさい。わが国の知者たちは、いずれもその解き明かしを、わたしに示すことができなかったけれども、あなたにはそれができる。あなたのうちには、聖なる神の霊がやどっているからだ」。

19 その時、その名をベルテシャザルととなえるダニエルは、しばらくのあいだ驚き、思い悩んだので、王は彼に告げて言った、「ベルテシャザルよ、あなたはこの夢と、その解き明かしのために、悩むには及ばない」。ベルテシャザルは答えて言った、「わが主よ、どうか、この夢は、あなたを憎む者にかかわるように。この解き明かしは、あなたの敵に臨むように。

20 あなたが見られた木、すなわちその成長して強くなり、天に達するほどの高さになって、地の果までも見えわたり、

21 その葉は美しく、その実は豊かで、すべての者がその中から食物を獲、また野の獣がその陰にやどり、空の鳥がその枝に住んだ木、

22 王よ、それはすなわちあなたです。あなたは成長して強くなり、天に達するほどに大きくなり、あなたの主権は地の果にまで及びました。

23 ところが、王はひとりの警護者、ひとりの聖者が、天から下って、こう言うのを見られました、『この木を切り倒して、これを滅ぼせ。ただしその根の切り株を地に残し、それに鉄と青銅のなわをかけて、野の若草の中におき、天からくだる露にぬれさせ、また野の獣と共にその分にあずからせて、七つの時を過ごさせよ』と。

24 王よ、その解き明かしはこうです。すなわちこれはいと高き者の命令であって、わが主なる王に臨まんとするものです。

25 すなわちあなたは追われて世の人を離れ、野の獣と共におり、牛のように草を食い、天からくだる露にぬれるでしょう。こうして七つの時が過ぎて、ついにあなたは、いと高き者が人間の国を治めて、自分の意のままに、これを人に与えられることを知るに至るでしょう。

26 また彼らはその木の根の切り株を残しおけと命じたので、あなたが、天はまことの支配者であるということを知った後、あなたの国はあなたに確保されるでしょう。

27 それゆえ王よ、あなたはわたしの勧告をいれ、義を行って罪を離れ、しえたげられる者をあわれんで、不義を離れなさい。そうすれば、あるいはあなたの繁栄が、長く続くかもしれません」。

28 この事は皆ネブカデネザル王に臨んだ。

29 十二か月を経て後、王がバビロンの王宮の屋上を歩いていたとき、

30 王は自ら言った、「この大いなるバビロンは、わたしの大いなる力をもって建てた王城であって、わが威光を輝かすものではないか」。

31 その言葉がなお王の口にあるうちに、天から声がくだって言った、「ネブカデネザル王よ、あなたに告げる。国はあなたを離れ去った。

32 あなたは、追われて世の人を離れ、野の獣と共におり、牛のように草を食い、こうして七つの時を経て、ついにあなたは、いと高き者が人間の国を治めて、自分の意のままに、これを人に与えられることを知るに至るだろう」。

33 この言葉は、ただちにネブカデネザルに成就した。彼は追われて世の人を離れ、牛のように草を食い、その身は天からくだる露にぬれ、ついにその毛は、わしの羽のようになり、そのつめは鳥のつめのようになった。

34 こうしてその期間が満ちた後、われネブカデネザルは、目をあげて天を仰ぎ見ると、わたしの理性が自分に帰ったので、わたしはいと高き者をほめ、その永遠に生ける者をさんびし、かつあがめた。その主権は永遠の主権、その国は世々かぎりなく、

35 地に住む民はすべて無き者のように思われ、天の衆群にも、地に住む民にも、彼はその意のままに事を行われる。だれも彼の手をおさえて「あなたは何をするのか」と言いうる者はない。

36 この時わたしの理性は自分に帰り、またわが国の光栄のために、わが尊厳と光輝とが、わたしに帰った。わが大臣、わが貴族らもきて、わたしに求め、わたしは国の上に堅く立って、前にもまさって大いなる者となった。

37 そこでわれネブカデネザルは今、天の王をほめたたえ、かつあがめたてまつる。そのみわざはことごとく真実で、その道は正しく、高ぶり歩む者を低くされる。

 またやがて現れる反キリストが、その超人的な統率能力と知恵にもかかわらず、黙示録の中で「人間」ではなく、「獣」と呼ばれているのも、この真理による。

黙示録13:1-9

1 わたしはまた、一匹の獣が海から上って来るのを見た。それには角が十本、頭が七つあり、それらの角には十の冠があって、頭には神を汚す名がついていた。

2 わたしの見たこの獣はひょうに似ており、その足はくまの足のようで、その口はししの口のようであった。龍は自分の力と位と大いなる権威とを、この獣に与えた。

3 その頭の一つが、死ぬほどの傷を受けたが、その致命的な傷もなおってしまった。そこで、全地の人々は驚きおそれて、その獣に従い、

4 また、龍がその権威を獣に与えたので、人々は龍を拝み、さらに、その獣を拝んで言った、「だれが、この獣に匹敵し得ようか。だれが、これと戦うことができようか」。

5 この獣には、また、大言を吐き汚しごとを語る口が与えられ、四十二か月のあいだ活動する権威が与えられた。

6 そこで、彼は口を開いて神を汚し、神の御名と、その幕屋、すなわち、天に住む者たちとを汚した。

7 そして彼は、聖徒に戦いをいどんでこれに勝つことを許され、さらに、すべての部族、民族、国語、国民を支配する権威を与えられた。

8 地に住む者で、ほふられた小羊のいのちの書に、その名を世の初めからしるされていない者はみな、この獣を拝むであろう。

9 耳のある者は、聞くがよい。