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an east window

夜明けとなって、明けの明星が心の中に上るまで

サン・レーオの要塞 カリオストロとフリーメイソン

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 エミリア・ロマーニャ州とマルケ州の境にあるサン・レーオの要塞。ウィキペディアの日本語ページでは、マルケ州に属するように書かれているが、実際は2009年8月からエミリア・ロマーニャ州に属している。『ルパン三世 カリオストロの城』の出てくる城のモチーフになったと言われている。ローマ人によって建てられ、様々な争奪の歴史を繰り返し、16世紀から20世紀初頭までは牢獄として使用されていた。

 「カリオストロ伯爵」と自ら名乗っていたパレルモ出身のジュセッペ・バルサモが、1791年4月から死亡まで約4年間、終身刑の異端者として捕えられていた小さな牢獄『Pozzetto(「小さな井戸」という意味)』が残されている。

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 カリオストロが投獄されていた頃は、写真のような入り口は無く、天上の小さな窓から吊り下げる形で牢獄に入れられ、食事も同じようにこの天窓から差し入れされていた。私の関心を引いたのは、カリオストロが使っていたベッド(とてもベッドと呼べるような代物ではなく、ただ荒削りの木を組み立てた台である)の上に、花束がいくつも献花されていたことである。彼の生涯から判断すると、お世辞にも「偉人」と呼べるような人物ではないと思えるのだが、まだ枯れていない花束が何束も献花されているところ見ると、彼を讃える人が少なくないのかとも考える。

 実際、要塞の一室にはカリオストロが所属していたフリーメイソンに関する展示室が用意され、様々な備品や書類がガラスケースの中に陳列されている。

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 真珠母で造られた額縁の写真は、ヨルダン女王のもので、フリーメイソンの襷(たすき)には最高階級である33階級の紋章を見ることができる。

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 壁には、『イタリア統一の父』と呼ばれ、同じくフリーメイソンに属していたジュセッペ・ガリバルディの絵が飾られている。

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 極め付けは、2003年6月にイタリアのグラン・ロッジがカリオストロを功労するために発行した『フリーメイソン・パスポート』である。スコティッシュ・ライトの最高名誉階級である33階級を授与することを証明するシンボリックな「パスポート」のようである。

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 これらの展示品は、この展示室がフリーメイソンの意向によって設置されていることを明らかにしている。

 詐欺師やオカルト的異端者としてローマ教会から断罪・破門され、牢獄の中において病死に終った生涯と、フリーメイソンの最高名誉階級。その強烈な対比は、まだ冷たい風の吹く丘の上の要塞の小部屋を、信じられない程刺激的な空間にしている。