生けるキリストを求めて(19)バベルの塔
創世記11:1-9
1 全地は同じ発音、同じ言葉であった。
2 時に人々は東に移り、シナルの地に平野を得て、そこに住んだ。
3 彼らは互に言った、「さあ、れんがを造って、よく焼こう」。こうして彼らは石の代りに、れんがを得、しっくいの代りに、アスファルトを得た。
4 彼らはまた言った、「さあ、町と塔とを建てて、その頂を天に届かせよう。そしてわれわれは名を上げて、全地のおもてに散るのを免れよう」。
5 時に主は下って、人の子たちの建てる町と塔とを見て、
6 言われた、「民は一つで、みな同じ言葉である。彼らはすでにこの事をしはじめた。彼らがしようとする事は、もはや何事もとどめ得ないであろう。
7 さあ、われわれは下って行って、そこで彼らの言葉を乱し、互に言葉が通じないようにしよう」。
8 こうして主が彼らをそこから全地のおもてに散らされたので、彼らは町を建てるのをやめた。
9 これによってその町の名はバベルと呼ばれた。主がそこで全地の言葉を乱されたからである。主はそこから彼らを全地のおもてに散らされた。
大洪水を経験したノアの息子らセム、ハム、ヤぺテの世代から三世代目、ニムロデの時代に、人々は現代のイラクがあるシナルの平野にバベルの塔を築いた。このニムロデはハムの孫で、「この世の権力者となった最初の人」、その名は「反乱を起こす」という動詞から派生したものであった。
創世記10:6-10
6 ハムの子孫はクシ、ミツライム、プテ、カナンであった。
7 クシの子孫はセバ、ハビラ、サブタ、ラアマ、サブテカであり、ラアマの子孫はシバとデダンであった。
8 クシの子はニムロデであって、このニムロデは世の権力者となった最初の人である。
9 彼は主の前に力ある狩猟者であった。これから「主の前に力ある狩猟者ニムロデのごとし」ということわざが起った。
10 彼の国は最初シナルの地にあるバベル、エレク、アカデ、カルネであった。
実際ニムロデは、自分の叔父カナンに対して宣告された「呪い」に逆らうかのように、この世の権力者に成り上がったのであった。
創世記9:19-27
19 この三人はノアの子らで、全地の民は彼らから出て、広がったのである。
20 さてノアは農夫となり、ぶどう畑をつくり始めたが、
21 彼はぶどう酒を飲んで酔い、天幕の中で裸になっていた。
22 カナンの父ハムは父の裸を見て、外にいるふたりの兄弟に告げた。
23 セムとヤペテとは着物を取って、肩にかけ、うしろ向きに歩み寄って、父の裸をおおい、顔をそむけて父の裸を見なかった。
24 やがてノアは酔いがさめて、末の子が彼にした事を知ったとき、
25 彼は言った、「カナンはのろわれよ。彼はしもべのしもべとなって、その兄弟たちに仕える」。
26 また言った、「セムの神、主はほむべきかな、カナンはそのしもべとなれ。
27 神はヤペテを大いならしめ、セムの天幕に彼を住まわせられるように。カナンはそのしもべとなれ」。
この非常に難解な箇所の中で、三回も繰り返しハムの子カナンが「しもべのしもべ」として兄弟たちに仕える立場になる「呪いの宣告」を受けている。(この個所に関して、一つの解釈を示した記事はこちら。)その宣告を振り払うかのように、ニムロデはセムやヤぺテの子孫の上に君臨する権力者となったのである。
そのニムロデが治政したバベルに塔が建てられたのであった。その塔は人々が一緒になって計画し、新しい素材と技術を使って建てられた。より頑丈に、より高く、より有名で、そして誰にも破壊されることのない一つの都市国家を築こうとしたのである。まるで神の裁きとしての大洪水の経験に挑むかのように。
3「さあ、れんがを造って、よく焼こう」。こうして彼らは石の代りに、れんがを得、しっくいの代りに、アスファルトを得た。
4 彼らはまた言った、「さあ、町と塔とを建てて、その頂を天に届かせよう。そしてわれわれは名を上げて、全地のおもてに散るのを免れよう」。
都市の建築計画やそのための協力自体が悪だったのではない。神に逆らい、神無しでそれを成し遂げようとしたことが悪だったのである。実際神はそのニムロデの計画に対して介入した。
7 さあ、われわれは下って行って、そこで彼らの言葉を乱し、互に言葉が通じないようにしよう」。
8 こうして主が彼らをそこから全地のおもてに散らされたので、彼らは町を建てるのをやめた
三位一体の神自ら地上に「下って行き」、「彼らの言葉を乱し、互に言葉を通じない様し、人々を全地に散らし、バベルの町を建てるのを中断させた。
もし神が御子イエス・キリストにおいて、世を造る前からある完全な計画を用意していなかったとしたら、このバベルに対する神の介入はおそらく一方的で理不尽なものであったかもしれない。しかし、神は実際に唯一の崇高な計画を用意していたのである。
その計画とは、御子をこの地上に遣わし、この世の最も低いところまで遜り、全ての人間を御自身の御許まで引き寄せ、キリストにあって完全に一つになるようにする為であった。
ヨハネ12:31-33
31 今はこの世がさばかれる時である。今こそこの世の君は追い出されるであろう。
32 そして、わたしがこの地から上げられる時には、すべての人をわたしのところに引きよせるであろう」。
33 イエスはこう言って、自分がどんな死に方で死のうとしていたかを、お示しになったのである。
エペソ1:7-12
7 わたしたちは、御子にあって、神の豊かな恵みのゆえに、その血によるあがない、すなわち、罪過のゆるしを受けたのである。
8 神はその恵みをさらに増し加えて、あらゆる知恵と悟りとをわたしたちに賜わり、
9 御旨の奥義を、自らあらかじめ定められた計画に従って、わたしたちに示して下さったのである。
10 それは、時の満ちるに及んで実現されるご計画にほかならない。それによって、神は天にあるもの地にあるものを、ことごとく、キリストにあって一つに帰せしめようとされたのである。
11 わたしたちは、御旨の欲するままにすべての事をなさるかたの目的の下に、キリストにあってあらかじめ定められ、神の民として選ばれたのである。
12 それは、早くからキリストに望みをおいているわたしたちが、神の栄光をほめたたえる者となるためである。
一人の主権者キリストの名の下に、信じる者が集められ、同じ霊によってキリストと同じ思いが与えられた。それは人間の名誉のためではなく、神の栄光を褒め称えるためである。
彼らがしようとする事は、もはや何事もとどめ得ないであろう。
終わりの時に「最後の反逆者」「この世の権力者」が顕れ、その邪悪な力によって多くの人々を従わせ、その計画を実現するだろう。しかしその時、神の真理の力によって速やかに裁きが執行されるだろう。
Ⅱテサロニケ2:1-12
1 さて兄弟たちよ。わたしたちの主イエス・キリストの来臨と、わたしたちがみもとに集められることとについて、あなたがたにお願いすることがある。
2 霊により、あるいは言葉により、あるいはわたしたちから出たという手紙によって、主の日はすでにきたとふれまわる者があっても、すぐさま心を動かされたり、あわてたりしてはいけない。
3 だれがどんな事をしても、それにだまされてはならない。まず背教のことが起り、不法の者、すなわち、滅びの子が現れるにちがいない。
4 彼は、すべて神と呼ばれたり拝まれたりするものに反抗して立ち上がり、自ら神の宮に座して、自分は神だと宣言する。
5 わたしがまだあなたがたの所にいた時、これらの事をくり返して言ったのを思い出さないのか。
6 そして、あなたがたが知っているとおり、彼が自分に定められた時になってから現れるように、いま彼を阻止しているものがある。
7 不法の秘密の力が、すでに働いているのである。ただそれは、いま阻止している者が取り除かれる時までのことである。
8 その時になると、不法の者が現れる。この者を、主イエスは口の息をもって殺し、来臨の輝きによって滅ぼすであろう。
9 不法の者が来るのは、サタンの働きによるのであって、あらゆる偽りの力と、しるしと、不思議と、
10 また、あらゆる不義の惑わしとを、滅ぶべき者どもに対して行うためである。彼らが滅びるのは、自分らの救となるべき真理に対する愛を受けいれなかった報いである。
11 そこで神は、彼らが偽りを信じるように、迷わす力を送り、
12 こうして、真理を信じないで不義を喜んでいたすべての人を、さばくのである。
この世の権力者ニムロデによって建てられた都市バベルは、地上から天に向かって挑むように建てられた。対称的に、神は終わりの時に、「聖なる都」「新しいエルサレム」を信じる者に対して「天から」備えられるであろう。
黙示
1 わたしはまた、新しい天と新しい地とを見た。先の天と地とは消え去り、海もなくなってしまった。
2 また、聖なる都、新しいエルサレムが、夫のために着飾った花嫁のように用意をととのえて、神のもとを出て、天から下って来るのを見た。
3 また、御座から大きな声が叫ぶのを聞いた、「見よ、神の幕屋が人と共にあり、神が人と共に住み、人は神の民となり、神自ら人と共にいまして、
4 人の目から涙を全くぬぐいとって下さる。もはや、死もなく、悲しみも、叫びも、痛みもない。先のものが、すでに過ぎ去ったからである」。