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an east window

夜明けとなって、明けの明星が心の中に上るまで

時に適った問いかけ

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 昨日の記事でミケランジェロについて触れたが、そのことが私にとってある重要な出来事の記憶を思い出させた。

 ボローニャに移り住んでしばらく、目に映るものの全てが自分に語りかけているように感じ、町中を歩き、モノクロームの写真を撮りまくっていた時期があった。上の写真は、修復前のサン・ドメニコ教会の中で撮った写真だが、実はこの教会内には、ミケランジェロが十代の頃に製作したと言われている小さな彫像がある。ある日、その彫像を観に行き、身廊に座って物思いに耽っていると、白い服を着た一人の老人が目の前に現れた。そして私にこう質問したのである。「ミケランジェロの作品は、四百年経った今でもここにある。しかし彼の魂は今どこにいるのだろうか。」

 この見知らぬ老人が、なぜ私がミケランジェロの作品を観に来ていたかわかったのかは謎だが、このシンプルな問いかけは、私を存在の意義に関してさらなる省察へと促した。その当時は聖書を読みはじめたばかりで、私の省察は哲学的なアプローチしか知らず、信仰の確信を持っていなかった時期であったので、今思うと、正に時に適った問いかけであったと思う。

 その後、何度かその老人との再会を試みたが、結局彼を見たのはその一度限りとなった。