an east window

夜明けとなって、明けの明星が心の中に上るまで

手紙

 『新約聖書』全27書の内、実に21書が手紙という文書形式で書かれている。その他の6書のなかでも、『ルカによる福音書』『使徒行伝』、あの『黙示録』でさえも特定の個人もしくは教会に対して書き送られたものである。

 神という絶対的な存在を伝えるには、随分「軽い」書式ではないか。モーゼの十戒のように石の板に神の指で書かれたものの方が、より「それっぽく」なかっただろうか。

 いや、神はあえて「手紙」という形式を選ばれた。しかも往復書簡ではない。使徒ペテロと使徒パウロの往復書簡なんてあってもよさそうだが、新約聖書の中には存在しない。

 まるでその手紙を読む一人一人から、それぞれの思いを込めた返事を待っているかのように、、、。